レムが亡くなった。スタニスワフ・レム、心不全のため27日に死亡。享年84。
現役では最高のSF作家でしたね。全SFの中で1作だけ、といわれたら彼の『ソラリス』を選ぶかもしれない。
ただ、正直なところユーモア感覚は私とズレていて、泰平ヨンものなどは、ちょっと苦手。三部作と呼ばれる(内容は関係のない独立した作品ですが)『エデン』『ソラリス』『砂漠の惑星』がやはり素晴らしい。
『ソラリス』と同時期に書かれた『星からの帰還』は、著者本人が「出来がよくない」といってますが、昔、読んだ時には、「よくまあこんな小説が書けたものだ」とぶっ飛んだ記憶があります。今、読むとどうなのだろう?
レムに関していちばん印象が深いのは、『ソラリス』のラストを書くのに2年かかったというエピソード。
どう終わらせていいのかわからなくてそのままにしておいたら、2年後に(だったと思うのですが出典がどれだったかわからなくて確認できません)、ふっと思いついたというのです。
レムはこの小説を自分でも先が読めない状態で書き進めていたのですね。それでも、これしかないという結末が、いつかはやってくる。そのためにじっくり待つことも必要だということを、このエピソードは教えてくれます。
きっとレムのことだから、あの世でもとんでもないことを考えているのでしょうね。この世にいる我々には、もはやそれを読むすべがないのが寂しい。合掌。