やっと原稿をひとつ上げたと思ったら、すぐに次の仕事に取り掛からねばならない。年末進行は大変です。
10年あまり前に『大きなケストナーの本』(マガジンハウス)というタイトルの本が出ましたが、その流儀でいけば『サンタクロースにインタビュー 大人のための子どもの話』(泉千穂子訳、ランダムハウス講談社)は「小さなケストナーの本」とでも呼びたくなります。20代なかばから30前後までの間に、ケストナーが新聞や雑誌に書いた短文を中心にしたアンソロジー。
『大きな――』がケストナーの一生を、彼のエッセイや詩で構成するような内容だったのに比べると、こちらは少年時代のケストナーをうかがわせるような編集になっています。
ただ、これを短篇集として読んでしまうと、どうなんでしょう? 「なんだ、ケストナーってそんなに面白くないじゃないか」ということになってしまいはしないかと心配。
『大きな――』がそうであったように、この本もケストナーその人を知るための副読本のような位置づけをするのがいいように思います。
だから、順番としては――
- 『エミールと探偵たち』や『飛ぶ教室』でケストナーの素晴らしさを知る。
- ケストナーの伝記(クラウス・ゴードン『ケストナー ―ナチスに抵抗し続けた作家―』など)を読む。
- 『大きなケストナーの本』や、この『サンタクロースにインタビュー』を読む。