「〈のようなもの〉を呉れ」というのは、三遊亭金馬が得意とした落語「居酒屋」の一節ですが、〈のようなもの〉は見たことがあるが、その原型は見たことがないというのは、何とも居心地が悪いものです。
歌でいえば、替え歌の方しか知らないような感じ。もとの歌はどんなんだろう? と気になるのです。
歌でいえば、替え歌の方しか知らないような感じ。もとの歌はどんなんだろう? と気になるのです。
私にとって、ツリフネソウはそんな存在でした。
仲間のキツリフネ(「黄色いツリフネソウ」という意味)は見たことがあるけれど、ツリフネソウは未見だったのです。
そのツリフネソウが、今日、出かけた野川公園の自然観察園に咲いていました。それもたくさん。
形の面白さを強調するために、横からの写真を載せてみます。
いちばんの特徴は、花の後ろに突き出した部分。「距」といいますが、それがクルクルッと巻いて、まるでカメレオンの尻尾のよう。この先に蜜をためているそうです。
距をもつ大きな袋状の部分は3枚ある萼片のうちの1つ。花弁は萼の内側につつましく隠れています(正面から撮ればよくわかるのですが)。
この花、幻想世界の空飛ぶ生きもののように見えてきます。ふわふわと漂いながら、大きな口でパクッと獲物を捕えそう。
ツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草。