夕方、野川公園を散歩していたら白梅がほころび始めていました。春の兆しを見つけたようでうれしい。
明日からはもっと暖かくなるようです。
1週間前に87歳で亡くなられた詩人の吉野弘さんをしのんで本棚から『吉野弘詩集』(思潮社・現代詩文庫)と、岩波ジュニア新書に書かれた入門書『詩の楽しみ』を取り出しました。
詩集は1974年に出た第9刷。その頃に買ったとしたら、高知で会社員をやっていた時のこと。
吉野さんの詩といえば高田渡さんが歌った「夕焼け」や、教科書に載ったという「I Was Born」が有名でしょう。が、私が好んで読んだのは、たぶん吉野さんが労働組合活動をやっていた頃に書かれた「burst 花ひらく」や、牛の死骸から逃れる寄生虫を読み込んだ「記録」など。
「うしろで/優雅な、低い話し声がする。/ふりかえると/人はいなくて/温顔の石仏が三体/ふっと/口をつぐんでしまわれた。/……」という「石仏 晩秋」も好きでした。
『詩の楽しみ』で吉野さんは次のように詩を定義しています――
- 詩とは " 言葉で、新しくとらえられた、対象(意識と事物)の一面である "
大事なのは「新しくとらえられた」でしょうね。つまりは「発見」ということ。これはどんな表現行為にも通じることだと思います。
吉野さんはそうした発見を、わかりやすい言葉で、万人が共有できるように表現なさった。厳しい現実をみつめる冷静な目と、そうした現実を温かく受け止めるユーモア。
そんな詩にずいぶん慰められました。ありがとうございます。
そうそう、吉野さんにはこんな作品もあります――
- 花
- 花 死
- 花 花 花
- 花 花 死 花
- 苑 苑 苑 苑 苑
- 死 死 死 死
- 死 死 死
- 死 死
- 死