惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

筒井さん

2015-10-18 20:32:52 | ひと

 田舎に帰ったり、夜のお出かけがあったりで、ブログを何日も休んでしまいました。

 帰郷は国土調査の立会。
 数年前から何度も田舎に帰って、先祖伝来の土地の境界を確認してきましたが、それも今回でおしまい。重い肩の荷が下りた気がします。

 昨夜は新宿文化センター小ホールで「Live Wire 筒井康隆自作を語る#2」。『筒井康隆コレクションⅢ 欠陥大百科』(出版芸術社)刊行を記念して、編者の日下三蔵さんが筒井さんに昔の話を聞いてゆきます。
 昨年の第1回は、確か、『脱走と追跡のサンバ』連載の前まで語られたように覚えていますが、今回は、少しさかのぼって1968年、「ベトナム観光公社」と「アフリカの爆弾」が、2回続けて直木賞候補になったあたりから。
 2度とも残念な結果に終わったのですが、実は、その直後、「母子像」も候補になりかかっていたとか。文藝春秋の方からそれとなく打診があったけれど、「もういいや」と思って候補になるのを断ったのだそうです。

 話題は、『家族八景』3部作、『時をかける少女』TVドラマ化、大阪万博、舞台脚本、ネン・ヌルの会、〈70年代日本SFベスト集成〉……と続きますが、特に面白かったのは『大いなる助走』執筆のことでしょうか。文藝春秋の担当編集者に「ぜひ書いてくれ」と言われ、「文春がいちばん嫌がることを書いてやれ」と思って書いたのがこの作品だそうです。全体の構想は話さずに、連載をやった結果、「やっぱり文句が出ました」。モデルになった直木賞選考委員たちや出版部長氏の話、それに映画化の時に出演したことなど、筒井さんらしいエピソードがいっぱい。

 日下さんの引き出し方のうまさもありますが、筒井さんの記憶力の素晴らしさ、話の内容の行き届きぶり、それにダンディーないで立ちなど、どこをとっても81歳の老人とは思えません。まだまだナイスミドルの雰囲気。
 次回も楽しみに待ちたいと思います。