惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

柿紅葉

2015-10-10 20:26:10 | 季節

 北海道や高山から紅葉の便りが届くようになりました。今年、関東では秋が早かったので、里の紅葉も早めになるのでしょうか。
 これはまだ紅葉ではなく、まだらに色づいている段階ですで、手に取って見るととても綺麗でした。

 近所の公園に生えている柿の木から舞い落ちていました。
 この柿の木には、一応、甘い実がなります――というか、渋くないという程度の甘さですが。子どもが登ってもぎ取ってゆきます(歳をとった子ども、も)。
 今日も枝の上に子どもたちがいたので、それでこの葉っぱたちは落ちてしまったんでしょうね。

 拾って近くの地面に並べた柿の葉ですが、まだ乾ききっていないのでビロードのような手触り。気持ちがいいんです。
 落ち葉を拾って遊ぶのはひさしぶりでした。いいもんですね。


仙人草

2015-10-09 21:24:47 | 草花

 野川沿いの遊歩道を歩いていたら、フェンスの隙間から蔓を伸ばしたセンニンソウが白い花を咲かせていました。

 キンポウゲ科のつる性半低木。
 実は、気づいたのは、花よりも香りが先でした。ジャスミンに似た甘い香り。ただし、そんなに強い香りではありません。
 「いい匂いがするな」と思って、見まわしたら、足元に花が咲いていた、という次第。

 毎日のように歩く場所なのに、昨年までは見た記憶がない。たぶん種が飛んできて、岸で芽生えたのでしょう。
 花が終わると花柱は長く伸び、白くて長い毛をつけるそうです。それが仙人の髭のようだということで、「仙人草」と名付けられたとか。今度、よく見てみます。

 夕食後の演芸タイム、今日は、これまた大贔屓の立川談志師匠、「西鶴一代記」。師匠が書き下ろした評伝のような噺(ストーリーがないこのような噺を「地噺」というそうです)。
 どこまでがマクラで、どれが本筋で、どれが脱線のクスグリなのか、よくわからないままに井原西鶴の一生が語られます。松尾芭蕉や近松門左衛門も登場し、当時の文化状況や生活なども織り交ぜながら、当時の人のあり様を伝える自在な語り口。比較して現代の世相も照らし合わせるので、話はあっちへ行ったり、こっちへ行ったり。それが混乱しているふうでもなく、ひとまとまりの批評になっているところが師匠の凄いところ。
 聞きようによっては、ずいぶん横柄なことを言っているのですが、録音は昭和41年、立川談志30歳の時なんですね。早熟な天才でした。


鰍沢

2015-10-08 20:57:57 | 落語

 台風23号は温帯低気圧へと変わりながらも勢力が強く、北海道は大変な荒れようだったみたいですね。
 しかしながら、関東は一時的な冬型の気圧配置となって、よく晴れました。夕方には西の空に富士山がくっきりと。

 今日の落語は、昨日につづいて六代目・三遊亭円生師匠。演目は十八番の「鰍沢」。

 三遊亭円朝作の怖ろしい噺で、中学生か高校生の頃、ほかならぬ円生師匠のラジオ高座を聴いた覚えがあります。半世紀ほども前のことなので、細部はすっかり忘れていました。ただただ、暗くて怖い噺だったような記憶のみが。

 今回、聴いてみると、山中の一軒家で旅人が殺されかかるという陰惨さはあるものの、怪談というほどのこともなかった。
 一軒家に住む美女の描写や、旅人とのやりとりの裏にあるさりげない企みなど、語りの巧みさを際立たせる要素が盛り沢山の、やりがいのある一席だと知りました。円生師匠は臨場感あふれる見事な語り口。芝居噺を得意としただけのことはあります。
 でもねえ、こんなに重厚な噺を「お材木のおかげで助かりました」と他愛ないサゲでまとめるとは。落語のカッコイイ腰砕けぶりに参ります。


三年目

2015-10-07 21:06:43 | 落語

 落語はほぼ毎晩、夕食後に聴いていますが、このところ感想を書こうという噺/噺家さんにはなかなか出会えません。

 今日はご贔屓の六代目円生師匠。「三年目」は初めて聴きました。

 幽霊譚なのですが、おどろおどろしいものではありません。むしろ、女性の可愛さを描く、どこかコミカルな怪談。円生師匠はくすぐりを入れながら、後味の良い落語に仕上げています。
 不治の病にかかった愛妻が、「私が死んだら、あなたはきっと次の人と一緒になるんでしょうね」と、未来へ向けてやきもちをやく。男は、「そんなに心配なら、俺が結婚する晩に化けて出ればいいじゃないか。そうしたら嫁は逃げて帰るから、俺は一人のままだ」。
 安心したのか、妻は間もなく逝く。
 周囲の勧めがあって、男はついつい後妻をもらうことに。式を挙げた夜、男は約束の八ッ(午前2時)まで寝ずに待つが、先妻の幽霊は出ない。何日、待っても出ない。そのうち、後妻との間に子供まで出来て、3年が経ち……。

 出てきた幽霊の描写は、さすが円生師匠、その時だけは怪談調が際立ちます。
 「女は緑の黒髪をおどろに振り乱し――」と印象深く語りあげ、それがオチにつながってゆきます。うまい! 


三無科学者

2015-10-06 21:33:16 | ニュース

 連日の日本人ノーベル賞受賞者誕生で喜ばしい気分がいっぱい。

 日本人受賞者以外で私が注目したのは、昨日の医学・生理学賞を受賞した屠ユウユウさん(84歳)。マラリアの特効薬アルテミシニン発見が評価されたものですが、報道を眺めていると、ずっと漢方薬を研究し、今日の医学に役立たせようと地道に努力されてきた様子が目に浮かんできます。

 ネットで見た中では「新京報」の記事が、経歴や研究内容など詳しいようですが、いかんせん、ネット翻訳を通してみても、意味がくみ取りにくい(アルテミニシンはヨモギ属の植物であるクソニンジンから抽出するようですが、ヒントは道教の古典『抱朴子』を書いた葛洪の著作にあった?)。
 むしろ、ラスカー賞を受賞した際に銀座東京クリニック院長・福田一典さんが書かれたこのブログで、業績をよく知ることができました。

 屠ユウユウさんは中国ではずっと「三無科学者(博士でない・留学経験がない・中国科学院会員でない)」と呼ばれてきたそうですが、これは今や褒めたたえる言葉になったのでは。