金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

中国の民衆蜂起の使嗾は義和団事件以来の伝統

2012年09月17日 | 国際・政治

尖閣諸島の領有をめぐり、中国民衆の抗議活動が活発化している。いや単なる抗議ではなく一部の民衆は暴徒化しているというべきだ。明日9月18日は満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた日。この日をターゲットにしてデモが活発化するという観測があるので気懸かりだ。

ニューヨーク・タイムズによると、中国政府は反日抗議活動に硬軟両方のメッセージを送っている、と述べている。簡単にいうと民衆の抗議活動を一方で焚きつけながら、一方では平和的に振舞えと言っているというのだ。だが本音はどこにあるのだろうか?同紙は政治アナリストLi Weidongの見解を紹介しているが、Li氏によると中国政府が民衆蜂起を大目に見ているのは、民衆の抗議を外交政策の目標達成のために使うという伝統に合致していると述べている。そして現在の状況を20世紀初頭の義和団の利用と比較している。

義和団事件というのは、19世紀末に清朝北部で起きた排外主義的民衆蜂起だ。当局の山東省はこれを取り締まるどころか省の責任者が奨励するような動きを示したため、蜂起は猖獗を極めた。やがて清朝と連合国の戦争となり清朝は降伏。清朝の権威は低下し辛亥革命につながっていった・・・・・

Li氏は「北京政府は争いたくはないけれど、尖閣問題について日本と対話することもできない状態にあり、現代の義和団を利用したのである。日本に圧力を加えるため製品のボイコットという形で。」と述べている。

タイムズの記事は中国政府の官僚が抗議活動に関与していた証拠がある、と述べている。

米国の世論形成に大きな力を持つタイムズが、このように中国政府の実態を明らかにしていることは心強いといえる。一方記事の中で気になる部分は、パネッタ国防長官が「米国は地域の領土をめぐる論争について一方に肩入れすることはない」と発言したことだ。日本としては尖閣の領有権についてもっと強いサポートが欲しかったが・・・・・

民衆の反日活動を使嗾して外交政策の有利な展開を目指す中国。だが民衆蜂起が制御不能となった時は北京政府に向かって逆噴射するリスクがあるということを聡明な共産党幹部が認識していないとは思わないが・・・・・

われわれ日本人はどうすれば良いか?一つは事実に基づく情報を正確に収集し世界に向けてメッセージを発信し、中国政府の理非を正すべきだろう。

次に絶対に弱腰にならないことだ。人民日報はa people that has no guts and courage is doomed to be bullied, and a country that always hides low and bide its time will always come under attackと述べている。

度胸と勇気のない人はいじめられる運命にあり、姿を隠そうとしたり時間稼ぎをする国は常に攻撃の対象となるだろう。中国人民に対する警鐘はまたわれわれに対する警鐘でもある。

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上流に向かって泳ぎ力尽きる。そんなバカな・・・

2012年09月17日 | うんちく・小ネタ

アウトドア用品店のmont-bellが出しているOutward9月号に「そんなバカな」と思うような話が書いてあった。書き手はカヌーイストとして有名な野田知佑さん。話は次のとおりだ。

ある年の夏、四万十川では数人の青年が溺死した。詳しく話を聞くと、川で泳いでいると、当然のことだが下流に流される。そこで驚愕した青年は、元いた場所に戻ろうと上流に向かって泳ぎ、力尽きて死ぬという。

そんなバカな、とわれわれは思った。動物でさえ川に落ちると、流されながら浅い岸に向かって泳ぐ。ところが、日本の青年たちはどういう訳か元いた場所に戻ろうとするという。

大人たちが子供にあまりにも干渉し過ぎた結果、子供たちは判断する能力を失っていたのだ。

野田さんに一言。

「動物でさえ川に落ちると・・浅い岸に向かって泳ぐ」というのは「動物なら川に落ちると・・・浅い岸に向かって泳ぐ」と言う方が良いでしょう。動物は親から教えられなくても、頭で考えなくても(溺れそうになった時考える余裕はないでしょうが)本能的に浅瀬に向かうのでしょう。大人たちの過度の干渉により子供の本能はspoilされてしまいました。つまり動物的本能が失われたので溺れるようになったのでしょう。

教訓

川で溺れた時は元いた上流に戻ろうとするのではなく、下流に流されながら安全な着地点を探しましょう。

世の中で溺れそうになった時は安易に下流に流されて楽な淀みにはまるのではなく、時には上流に向かってチャレンジしましょう。流れに逆らって泳ぐことが体と心を鍛えます。上流ゆえに見える美しい景色もあります。

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高妻山、日帰り百名山ではhardest

2012年09月17日 | 

先週登ってきた高妻山は日帰りで登る深田・百名山の中では最もタフな山の一つだ、と私は評価している。ここでいうタフな山とはエネルギーを消耗する山という意味だ。

手元にある百名山本(深田久弥の日本百名山(上)JTB)から、日帰り登山の山で歩行時間の長い山を調べてみた(車で入れるところまで入るとして計算)。

高妻山は往復8時間15分全長12.7kmである。これを超えるのは奥只見の平ガ岳(標高2,141m)で全21kmを往復9時間50分で歩くとされている。

私は平ガ岳に2.5回登っている。最初に登ったのは中ノ岐川という道のない沢を遡行して頂上に立ち、尾瀬まで歩いたというもの。二回目は3月魚沼駒ケ岳から豪雪の中をラッセルで登頂。これらの山行はコンデイションが違いすぎて一般道からの登山の評価には繋がらない。2.5回目の最後の0.5は数年前恋ノ岐川から平ガ岳の手前の池ノ岳を経由して平ガ岳登山口に下ったものだ。0.5回というのは平ガ岳頂上には行かなかったので0.5回である。

この時の記録を見るとガイドブックでは4時間となっている下りに5時間以上かかったと書いている。長い沢登りでメンバーの一人がバテていたのだ。

この鷹ノ巣尾根を往復する平ガ岳の登山道には避難小屋もなく確かにハードなコースである。

次に地図ソフト・カシミールを使って分析する。

平ガ岳登山は累積高度差1,517m沿面距離10km登りに要する時間6時間と計算される。前提となる平地での歩行速度は3km/時間だ。

さて同じ計算を高妻山について行なってみると、累積高度差は1,357m沿面距離は5.9kmで登りに要する時間は6時間41分となった。登山距離は平ガ岳の方がはるかに長いのに、登りに要する時間は高妻山の方が長いと計算される理由は、上り勾配の補正による。つまり高妻山の方が傾斜の急な登りが多いため、所要時間が多く計算される。(これは上がり勾配の補正が強すぎるのかもしれないが)

百名山本によると平ガ岳の登りコースタイムは5時間40分で高妻山のコースタイムは4時間50分だ。私はこのコースタイムは妥当だと思うが、頂上に近づくにつれて傾斜が緩くなっていく平ガ岳と最後に300mの急登がある高妻山では疲労感は個人差があると考えている。高妻山の最後は岩と泥のハーフパイプのような急斜面だ。段差の大きい急な登りに弱い人には高妻山は厳しい山だ。

朝日新聞社が刊行した週間日本百名山という本には「深田久弥でさえ、あとほんの1時間でいける乙妻山を諦めたほど厳しい登山なのである。熟年向けとはいえない。登れない山があってもいいではないか」という主旨のことが書いてあるそうだ。

なお上信越方面の2千メートル級の山は営業小屋が少なく、日帰り登山や避難小屋利用となることが多く結構タフである。泊まりがけでも営業小屋が完備した北アルプスを一日6、7時間程度歩く方がはるかに楽、ということもある。山高き故に困難、とは限らないのである。

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