尖閣諸島の領有をめぐり、中国民衆の抗議活動が活発化している。いや単なる抗議ではなく一部の民衆は暴徒化しているというべきだ。明日9月18日は満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた日。この日をターゲットにしてデモが活発化するという観測があるので気懸かりだ。
ニューヨーク・タイムズによると、中国政府は反日抗議活動に硬軟両方のメッセージを送っている、と述べている。簡単にいうと民衆の抗議活動を一方で焚きつけながら、一方では平和的に振舞えと言っているというのだ。だが本音はどこにあるのだろうか?同紙は政治アナリストLi Weidongの見解を紹介しているが、Li氏によると中国政府が民衆蜂起を大目に見ているのは、民衆の抗議を外交政策の目標達成のために使うという伝統に合致していると述べている。そして現在の状況を20世紀初頭の義和団の利用と比較している。
義和団事件というのは、19世紀末に清朝北部で起きた排外主義的民衆蜂起だ。当局の山東省はこれを取り締まるどころか省の責任者が奨励するような動きを示したため、蜂起は猖獗を極めた。やがて清朝と連合国の戦争となり清朝は降伏。清朝の権威は低下し辛亥革命につながっていった・・・・・
Li氏は「北京政府は争いたくはないけれど、尖閣問題について日本と対話することもできない状態にあり、現代の義和団を利用したのである。日本に圧力を加えるため製品のボイコットという形で。」と述べている。
タイムズの記事は中国政府の官僚が抗議活動に関与していた証拠がある、と述べている。
米国の世論形成に大きな力を持つタイムズが、このように中国政府の実態を明らかにしていることは心強いといえる。一方記事の中で気になる部分は、パネッタ国防長官が「米国は地域の領土をめぐる論争について一方に肩入れすることはない」と発言したことだ。日本としては尖閣の領有権についてもっと強いサポートが欲しかったが・・・・・
民衆の反日活動を使嗾して外交政策の有利な展開を目指す中国。だが民衆蜂起が制御不能となった時は北京政府に向かって逆噴射するリスクがあるということを聡明な共産党幹部が認識していないとは思わないが・・・・・
われわれ日本人はどうすれば良いか?一つは事実に基づく情報を正確に収集し世界に向けてメッセージを発信し、中国政府の理非を正すべきだろう。
次に絶対に弱腰にならないことだ。人民日報はa people that has no guts and courage is doomed to be bullied, and a country that always hides low and bide its time will always come under attackと述べている。
度胸と勇気のない人はいじめられる運命にあり、姿を隠そうとしたり時間稼ぎをする国は常に攻撃の対象となるだろう。中国人民に対する警鐘はまたわれわれに対する警鐘でもある。