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金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

登山時間と疲労度を推定する(2)

2012年09月10日 | 

登山における疲労度を推定する目安として、消費カロリーを考えてみることにしました。

http://hbb.amary-amary.com/calc_climb.phpというサイトに担ぐ荷物別の消費カロリーの計算が出ていました。

体重65kgの人が4.5~9.1kgの荷物(小屋泊りの荷物)を背負って1時間歩くと511Kcalのエネルギーを消費。同様に9.5~19.1kgで546Kcal、またロッククライミング1時間で750Kcalのエネルギーを消費します。

体重65kgの男性が時速7.2kmでジョギングする時1時間に消費するカロリーは491Kcalですから、小屋泊りの荷物を持って登山をするのとほぼ同様のエネルギー消費量だといえます。

8月初めに登った剱岳を例に消費カロリーを考えてみましょう。

剣山荘から剱岳頂上までは、沿面距離1.95km、累積高度577mで、「北アルプス テントを背中に山の旅へ」のコースタイムを見ると3時間でしたが、私達の所要時間は3時間40分でした。これは登山者が多く鎖場での待ち時間が多かったことが遅れの第一の原因でした。また下りはコースタイム2時間20分に対して所要時間は3時間でした。

一般道である剱岳の鎖場でどれ位カロリーを消費するか不明ですが、仮にロッククライミングより少し少ない700Kcal/時間とします。また岩場を登り下りしている時間を片道1時間とします。コースタイムベースで剣山荘から剱岳を往復するのに要するカロリー数を計算すると、511Kcal×3時間20分+700Kcal×2時間=3,100Kcalとなります。これは時速7.2kmで6時間20分ジョギングするか、または時速9.6kmで4時間40分ジョギング(距離にするとフルマラソンより少し長い距離を走る)のと同程度のエネルギーを消費します。

我々は剱岳を登頂した後、剣御前小屋を越えて雷鳥沢まで下山しました。その所要時間が3時間半で消費カロリーは1,788Kcal。この日の計算上の消費カリーは約5千Kcalでした。実際はこれに炎天下の待ち時間が加わるので、もう少し消費カロリーは大きかったと思います。

同じようなカロリー計算を「種池小屋キャンプ場からの鹿島槍ヶ岳往復」について行うと約4千Kcalでした。剱岳往復に較べて、鹿島槍ヶ岳往復は楽勝でした。第一の要因は気温が低いことだと思いますが、1千Kcalの消費エネルギーの差も大きいでしょう。一日の消費カロリーが5千カロリーを超えると、中々の登山です。

消費カロリーを少なくするのが、山でバテないコツです。そのためには「体重を軽くする」「荷物を軽くする」「岩場での消費カロリーを減らす(足を中心に登り、腕力に頼らない)」ことがポイントです。ただし分かっているけれど中々減らないのが体重ですね。

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登山時間と疲労度を推定する(1)

2012年09月10日 | 

このエントリーは登山の実践者で、所要時間の算出や疲労度の推定に強い関心を持っている人を対象としています。ご関心のない方はスキップしてください。

登山計画を作る場合、まず登山口から頂上までどれ位時間がかかるか?を計算します。「そんなの簡単。昭文社の登山地図を見るとコースタイムが書いてあるよ」と答が返ってきそうですが、その方法には大きな問題があります。昭文社の地図に出ていないコースや地図がカバーしていない山のコースタイムが分かりません。「ガイドブックのコースを参考にする」という方法もありますが、昭文社の地図と同じ問題が起きます。またそのガイドブックが対象とする登山者のレベルによっても、コースタイムは変わってきます。例えば「北アルプス テントを背中に山の旅へ」という本があります。この本はテントを担いで北アルプスを登る人を対象にした本で「コースタイムは30~40歳の男性が15~20kgのテント泊装備を背負って歩くことを想定したコースタイム」とはっきり定義されています。

つまりコースタイムは性別・年齢・担ぐ荷物の重量を登山者側の変数として、又コースの高低差、岩場の有無等の難易度をコース側の変数として、更に寒暖・風雨等の気象要因が加味されて決定されるといえます(積雪期は別)。

安全で楽しい登山をするにはまず「自分のsustainable(持続可能な)な登行速度を把握する」ことから始まり、次に「対象とするルートの距離や累積高度から所要時間を計算し」「コースの特徴に基づく修正を行う」ことでマイコースタイムを想定することがスタートでです。

私の最近の登山例で具体的に考えてみましょう。

9月の最初にテント泊+軽装アタックで鹿島槍ヶ岳に登りました。まず一日目は柏原新道入口から種池小屋キャンプサイトまで沿面距離4.0km、累積高度1,087mの道を4時間30分(休憩込み)で登りました。沿面距離や累積高度は地図ソフト・カシミールを使って算出しています。またカシミールには、上下勾配を補正した平均速度算出機能があり、この機能によると平地における移動速度は2.4kmと計算されました。

なお「北アルプス テントを背中に山の旅へ」によりますとこのコースの登り時間は4時間(移動速度になおすと、2.65km)となっています。30分の差は年齢差とこの日の気温と湿度がかなり高かったことによると思います。

次の日の種池小屋から鹿島槍南峰へは小さなアタックザックで往復しました。登りの沿面距離5.9km、累積高度798mです。所要時間は3時間40分でした。平地における移動速度は2.8kmです。「北アルプス・・・」によると同じコースの所要時間は4時間55分。この所要時間は私達がトラバースした爺ヶ岳の頂上を踏んでいると思われるので、これを補正すると4時間20分程度で移動速度は2.4km位と推定されます。「北アルプス・・・」との差は担ぐ荷物の重さの差でしょう。

鹿島槍から種池小屋への帰路は写真休憩が多くてあまり参考になりません。最後の日の種池から登山口の下りについては2時間半で下山しました。カシミールで計算した移動速度は2.1kmでした。ちなみに「北アルプス・・・」のコースタイムは3時間。こちらの移動速度は1.7kmです。私は下りに強いのでこの差が出たと思います。

このような実例を重ねながら、自分の平均的な移動速度を算出して、マイコースタイムを計算することができると、コースタイムが出ていない山でも所要時間が算出できると思います。

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オバマ・ロムニーを一言で言えば

2012年09月10日 | 国際・政治

近づいてきた米国大統領選挙。世論調査機関のHPも色々な調査結果にあふれている。ピューリサーチのHPには「大統領候補のオバマとロムニーを一言で言い表わせば」という調査結果が出ていた。

4年前の大統領選挙の時オバマを一言で言うと、Inexperianced(経験の浅い)という言葉が一番で、次がチェンジ、3番目にヤングとIntelligent(知性)が並び、5番目がカリスマ性、6番が新しいだった。

若くて政治的経験は乏しいが知性とカリスマ性のあるオバマの変革に期待しよう・・・ということだったのだろう。

4年後の今オバマを一言で言うと、一番はGood(人間として良い)で、次がtrying(試みている)、3番が大統領で、4番目がFailure(失敗、出来損ない)で5番目がIncompetent(無能)で6番目が偉大、7番目に正直と知性が並んだ。

3番の「大統領」という中立的な事実をはさんで、1,2番のポジティブな評価に4,5番のネガティブな評価が続いている。

共和党のロムニー候補を一言でいうと、「正直」「ビジネス」「お金持ち」「人間として良い」「保守的」という順番だ。

現職のオバマに反対陣営から「失敗」等の厳しい評価が下るのはやむを得ないとして、二人の共通しているのは「正直」とか「人間的に良い人」という一言だ。もっとも二人は同程度に「嘘つきだ」とも言われているが比率は低いので、選挙民に良い人だ、と思わせることでは二人ともそこそこ成功しているといえるのだろう。一方オバマを特徴付けるのは順位は下がったが「知性」で、ロムニーを特徴付けるのは「ビジネス」だろう。そのいずれを米国人は好むのだろうか?

★   ★   ★

指導者の良い性質についてマキャベリは次のように述べている(塩野七生 マキャベリ語録)。

君主(指導者)たらんとする者は、種々の良き性質をすべて持ち合わせる必要はない。しかし持ち合わせている、人々に思わせることは必要である。・・・・・

君主たる者、国を守りきるためには、徳をまっとうできるなどまれだということを、頭にたたきこんでおく必要がある。国を守るためには、信義にはずれる行為でもやらねばならない場合もあるし、慈悲の心も捨てねばならないときもある。

読者諸氏(あなた)がこのマキャベリの言葉を支持されるかどうかはしらない。ただ多くの世界の指導者たちがマキャベリの言葉を知っていて、時に実践していることは頭に入れておくべきだろう。

日本でも間接的ではあるが、新しい首相を選ぶ時期が近い。近隣国との関係を憂えるものとしてマキャベリ語録からもう一つ。

君主(指導者)にとっての敵は、内と外の双方にあり、これらの敵から身を守るのは、準備怠りない防衛力と友好関係である。そして常に、良き力をもつ者は、良き友にも恵まれるものである。

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