日本は時々妙なもので世界一になる。バブルの頃は東京の地価は世界で一番高かった。ホテルの部屋料が一番高いといわれたこともあった。今は日本の国債が先進国の国債の中で一番高いといわれている。
高いというと一瞬価値があることか?と思うがそれは全く逆でそのものの利用価値以上の値段がついていることである。不動産でいうと収益還元法ではとても計算出来ないような高値がついた、ということである。これは英語ではoverpricedというそうだ。
CNBCは世界の国債価格水準に関するドイツ銀行のレポートについて次のように報じていた。
「今年に入って世界的に国債は売り込まれている(つまり流通利回りは上昇し、価格は下落している)が、先進国(米国、英国、カナダ、ドイツ、スェーデン、ノルウェイ、スイス、オーストラリア、日本)の国債利回りは1997年から2012年の間の平均的な利回り水準までまだ戻っていない。その中で米国国債と英国国債は正常化に一番近いが、それでもリーマン危機以前の水準に比べると約0.5%低い。ドイツの国債は同水準に較べて0.7%低く、他の国では1%以上低い。」
ドイツ銀行のレポートでは、米国国債10年ものの妥当な利回りは3.5%という。またバークレイズ
は10年国債は来年第3四半期には3.75%に達するのでないかと予想する。因みに足元の利回りは2.91%程度だ。
記事は日本国債のフェアバリューには言及していなかったが、仮に日本国債が妥当な利回りよりよりも1%低い利回りで取引されているとしよう。これが正常化に戻ると1%×10年で約10円値段が下落することになる。仮に10年国債を1兆円持っている金融機関であれば、1千億円の評価損が発生する訳だ。
金融機関も馬鹿ではないので、金利が上昇し始めると、価格下落リスクが大きい長期債を売却してデュレーションを短くするオペレーションにでる。だがこの時は小さな出口に大勢の人が殺到する状態つまり「市場には売手ばかりで買手なし」という状況が起き、国債価格は真空地帯を急落するだろう。
Overpricedは永遠に続くことはない、ということは色々なバブル崩壊の歴史が教えるところだ。