先日ネパール・トレッキングに関するある電子本を読んでいたとき、ふと「帰国後に電子出版をまじめに考えてみよう」という気持ちが起きた。
トレッキングに関する電子本の著者は「何故このガイドブックを電子本で出版するのか?」という項目の中で次のことを書いていた。
1.アンナプルナに関するガイドブックは総て時代遅れである。2009年以前に出版されたものばかりでその後改訂されていない。紙の本の出版には通常半年以上かかるし、出版社は改訂版を出版する前に旧版を売り切ろうとする。
2.オンディマンドという出版方法はあるが、米国や英国のオンディマンド出版コストはドイツ(著者はドイツに住んでいる)に比べると高い。
3.だから電子出版という手法を選択した。おそらくこの本は情報を追加して年1回は改訂したい。
この話を読んで思いついたのが、私が関係している学会(相続学会)の研究誌を電子本で出版してはどうか?ということだった。相続に関しては変わって行くことが多い。分かりやすい例では税法の改正だ。また非嫡出子の相続割合についても法改正が行われる可能性がある。更には民事信託を利用した新しいスキームなど日進月歩で変化するソリューションが提案されている。
これらをタイムリーにアップデートし、かつ出版側として少ない費用で出版するには電子本が良さそうだ、という結論に自分の中では達している。
ハードルはある。一つは研究誌の読み手がどこまでついてきてくれるか?という問題だ。もう一つは「本を作る」というハードルだ。アマゾンが電子出版の手助けをしてくれることは分かっているが、具体的にトライしていないので本作りの難易度は不明だ。
学会誌となると、組織的な議論が必要になるので時間がかかりそうだから、自分の本を出して練習をするということも考えてみた。今週からでかけるアンナプルナのトレッキングは一つの素材だ。もっともどう考えてもそれほど需要がありそうな本ではないのでコスト(制作の手間)倒れになりそうだが。
「あることを探しているときに別のものを発見する能力(能力であって現象ではないそうだ)」をセレンディピティSerendipityという。
平たく言うと諸事に好奇心を持っていると思いがけない発見をする可能性があるということだ。
もっともこの事例がセレンディピティの好事例であるかどうかは分からないが。