WSJによると米ドル、ユーロ、円によるローンが急増し、債券発行額に迫る勢いを見せている。今年の外貨建て債券の発行額は1,410億ドルで外貨建てローン1334億ドルを上回っているが、デーロジック社によるとローン実行額は前年同期の5割増し状態だ。
外貨建てローンの資金使途は設備投資やクロスボーダーのM&A。クロスボーダーM&Aの中には中国のShuanghai International Holdingによる世界最大の豚肉生産・食肉処理会社スミスフィールド社(米国バージニア洲スミスフィールド)の買収47億ドルなどが含まれる。
外貨建てローンを出している銀行ではスタンダードチャーター銀行がトップでシェアは7%、次がANZ銀行の6.2%で三番手が三菱UFJファイナンシャルGの5.6%だ。
余談であるが私が親しくしているある日本の上場企業の社長から「最近取引のない三菱UFJさんからアプローチを受けているけどどう思う」と軽い相談があった。「目先の資金需要はなくても三菱さんの情報力は期待できますからお付き合いなされば」と答えておいた。
もっとも債券発行の幹事会社になり、引き受け債券を市場で売りさばく業務に較べてローンは信用リスクをとるのでリスクは高い。中国や韓国で不良債権が急増していることを見るとアジア企業向け融資がlucrativeとはいえないかもしれない。
だが世界的に見るとアメリカ・カナダや欧州全体の中期的な経済見通しが暗いのに較べてアジアの経済見通しは相対的にポジティブだという見方が多い。
大手銀行がアジア企業向けの融資を増やしているということは、グローバルに見て資金運用等の収益機会が減っていることの証左なのだろう。