金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

私の御嶽山を振り返る

2014年10月04日 | 

先週の御嶽山の噴火は今発表されているだけでも50名以上の方の尊い命が失われるという最大級の山岳事故だった。

前にもブログで書いたが私は今まで数度御嶽山に登ったことがある。今回の噴火に巻き込まれなかったのは偶然に過ぎない。そんなことを思い出しながらアルバムをくってみた。

以下数枚の写真は2009年8月に登山した時のものだ。

写真のように御嶽山は白衣をきた修験道の方が六根清浄と唱えながら頂を目指している。長い間噴火がなかったから、信仰登山の方が登る山だったのだ。

Ontake5

この日は晴れていたが頂上ではガスがかかっていた。ガスの中を頂上を目指す登山者たち。頂上には立派な山小屋が並んでいる。

Ontake1

山頂には幾つか池がある。夏なお残る雪田からの融水が池を満たしていた。

Ontake2

池のまわりのお花畑には可憐な花が咲き、その花の蜜を求めて虫たちが無心に集まっていた。

Ontake3

今年の5月には田ノ原からシールを着けてスキー登山をした。

Ontake6

王滝山頂のお社の鳥居はまだ半分雪の中だった。

山頂からは一気の滑走。吸い込まれるような一枚バーンにターンを繰り返した。

あっというまに登山口。今滑ってきた御嶽山を振り返る。

Ontake7

今はあの美しい山頂が火山弾や火山灰に覆われ、多くの山仲間たちが傷つき命を失ったと思うといたたまれない気がする。

ある日突然自然の力の凄まじさを見せる山だが、日頃は実に美しい。

最後に御嶽山の写真ではなく八ヶ岳を撮った私の写真を何枚か飾りたい。

文三郎尾根から撮った赤岳西壁。崇高である。

Yatugatakewinter1

阿弥陀小屋付近で撮った雪に覆われた樹林。ただ美しい。

Yatugatakewinter2

地蔵のコルを越えていく滝雲。

Yatugatakemorining

まるで生きているようだ。

我々にできることは亡くなった方のご冥福をお祈りすることしかない・・・・

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旅で読むには池内紀さんの本が良い

2014年10月04日 | 本と雑誌

仕事以外で私は余り一人旅をすることはない。山登りはグループで行くことが多いし、それ以外の旅はワイフと出かけることが多い。従って今のところ旅にでて本を読む、という機会はそれほど多くはないのだが、旅に出る時は池内紀(おさむ)さんの本を持って行くことにしている。

私より10歳年上の池内さんはドイツ文学者にして、エッセイスト。そして一人旅の名人だ。若い頃は山歩きも随分されたようだが、最近出版された本にはもう山歩きの話は余り出てこない。もっとも一昔前の「海山のあいだ」(オリジナルは1994年に出版)には幾つか山歩きの話も出ている。

最近読んだのは「きまぐれ歴史散歩」(中公新書)だった。この本の最初のエッセーは「旧石器あらわる」で、昭和21年に上州で「岩宿遺跡」という日本で初めて旧石器遺跡を発見した民間の考古学者・相沢忠洋(ただひろ)氏の話だ。この本の中では池内さんは相沢氏が明治大学考古学研究室に鑑定を依頼した「斡旋人」として取り扱われたことに抑制の利いた批判を述べるにとどめている。

しかし池内さんの「ニッポンの山里」(山と渓谷社)では、相沢氏を「シロウト」扱いし、「山師」だ「クワセ者」だと罵った当時の学会が手厳しく批判されている。

すこし引用してみよう。「専門は違うにせよ私自身、かって大学に奉職し、学会なるものに加わっていたのでよく知っているが、学者といわれる人はほんの少数の例外を除き、小心で、妬み深く、ボスに盲従する。ボスへの忠節を示すためにも(定説をくつがえす人を)容赦なく足蹴りにしなくてはならない」

旅の達人池内さんの日本の古い山里に愛情を注ぐ。そのエッセーは新鮮でそして優しさに満ちている。だが時々世の中の権威と呼ばれるものに鋭い批判を浴びせる。

このあたりのバランスが中々面白い。歴史と旅を文学にした本では司馬遼太郎の「街道をゆく」が有名だが、こちらはマクロの眼で歴史を論じているような気がする。これに較べて池内さんの切り口はもう少しミクロ的だ。

同じ本を何度も読み返すことは少ないのだが、池内さんの本に限っては私は何度も読むことが多い。特に「海山のあいだ」など文庫本がかなりくたびれるまで読んでいる。

その理由は池内さんの本の中に情報や知識を求めているからではないからだ、と私は考えていている。それよりも私にとっては池内ワールドに浸っていることが好きだから繰り返し、この作家の本を読んでいるのだと思う。

旅のエッセーは一つ一つの章が短く完結しているのも旅には向いている。列車待ちなどのスキマ時間で読むことができるからだ。

後5年か10年経って元気であれば、自分の池内ワールドを歩いてみたい、と私は考えている。といって池内さんが歩いたところをトレース積りはあまりない。むしろ池内さんが地形図を眺めて、次の旅先を見いだす方法論を活かしてみたいと私は考えているのである。

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しばらく古いブログサイトをご覧ください

2014年10月04日 | ブログ
昨日(10月3日)gooで新しいブログサイトを立ち上げました。
しかししばらくの間、新しい記事はブログ人で書き続けます(gooのサイトには反映されません)

お手数ですが新しいエントリーをご覧になりたい方は、こちらのサイトよりご覧ください。
 → http://kitanotabibito.blog.ocn.ne.jp/
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コースタイムには幅がある

2014年10月04日 | 

山にいって登山道を登っていると「標識」がある。「標識」には次の目的地までの距離や所要時間(コースタイム)を示していることがある。私は以前から「コースタイム」表示には疑問を持っていた。というのは「距離」は絶対的なものだが、「コースタイム」は歩く人の速度によって異なるからだ。このことは標識設置者も気が付いているようで、私の見るところ「距離表示」を示す標識が増えて、「コースタイム」を表示する標識は減っているようだ。ただ先週南アルプスの北岳に登った時は「コースタイム」表示が多かったので、改めてこの問題を考えてみたいと思った次第。

コースタイムは山の中の標識に書かれているだけでなく、ガイドブックやガイドマップにも書かれている。このコースタイムを参考に登山計画を作っている人は多いはずだ。

だがコースタイムはガイドブック毎にかなり異なることがある。

例えば白根御池小屋から北岳山頂までのコースタイムを「関東の山歩き100選」(昭文社 以下「100選」)、「北岳・甲斐駒・千丈」(ヤマケイアルペンガイド 以下「北岳」)と私たちが歩いた実時間(休憩込 以下「実例」)で較べてみよう。

「100選」では、白根御池小屋→北岳肩の小屋が3時間30分(「北岳」も同じ。「実例」は3時間)、肩の小屋→北岳山頂が50分(「北岳」では30分、「実例」では50分。白根御池小屋→北岳を通しては「100選」が4時間20分、「北岳」が4時間、「実例」は4時間となっている。コースタイムは「休憩時間を含まない」のに対し「実例」は「休憩時間を含む」ので、休憩時間を除くと3時間40分程度で歩いたことになるので、少し早いペースで歩いたと様だがそのことは本題ではない。

本題は「コースタイムはガイドブックによって異なる」ということと「山の難易度によってコースタイムの基になる歩行速度は異なる」ということだ。

簡単にいうとより登山指向の強い人を対象としたガイドブックでは「短めのコースタイム」が設定され、より一般的な人を対象としたガイドブックでは「長めのコースタイム」が設定される傾向が強いと言えるだろう。

また「険しい高山になるほど登山上級者のペースでコースタイムが設定され」「ハイキング的なやさしい山では、登山初級者のペースでコースタイムが設定される」傾向があることを頭に入れておいた方が良いだろう。

だから「比較的やさしい山でコースタイム通りにあるいはコースタイム以下で登山ができた」としても「険しい高山でコースタイム通りに歩くことができる」という保証はないのである。

登山計画を作る時はこのような「コースタイムのクセ」を頭に入れて計画を組む必要がある。また荷物の軽重も重要な要素だ。岩場歩きが得意・不得意なども計画を組む上での重要な要素になる。

今月末に台湾の玉山に登る計画があるので、Lonely Planet社のガイドブックで、トレッキング時間を調べてみたらコースタイムは「4時間ー6時間」などとかなり幅を持った表示をしていた。中高年登山者が増える中、若者登山者をベースに計算されたコースタイムで登山計画を組むと痛い目にあう可能性があるだろう。

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米国の雇用市場は好調、でも給料は上がらない

2014年10月04日 | 金融

昨日(10月3日金曜日)に発表された米国の雇用統計は良い数字だった。市場は米国の景気回復の足取りの確かさを再確認し、ダウは208.64ポイント(1.24%)上昇し、17,000ポイントを回復した。ドル円為替はドルが1円値上がりして再び110円に近づいた。

9月の非農業部門の雇用者増は248千人。8月の雇用者増は142千人から180千人に修正された。過去1年間で見ると毎月220千人の雇用が創造されたことになる。

失業率は5.9%に低下。これは2008年7月以降最低の水準。しかし平均賃金は僅かながら低下した。

このことは労働市場での需給がタイトになる(失業率が低下する)と、賃金が上昇するという「仮説」に疑問を投げかけたようで、幾つかのメディアがこの問題を取り上げていた。

Jobgrowth

挿入した グラフはニューヨーク・タイムズから借用したもので、横軸が失業率・縦軸が賃金の上昇率を示している。「仮説」が正しければ、失業率が自然失業率に近づいてくるともっと賃金が上昇しても良さそうだが、実際はほぼフラットという状態だ。

その理由については色々な見方がある。一つは失業率というのは、失業者の数をベースに計算されているが、仕事を探すことを放棄した人は失業者から除外されている。仕事探しを止めた人が増えると失業率は低下する。一方雇用市場が改善すると仕事探しを止めた人が再び労働市場に戻ってくるので、新たな労働力が供給され、しばらくの間は労働需給はタイトにならないというものだ。

また9月の雇用者増の1/4はテンポスタッフの増加によるものだった。このあたりも給与が伸びないことの原因なのだろう。

我々中高年にとって明るいニュースは、米国で55歳以上の失業率が過去1年間で5.3%から3.9%に低下したことだ。この低下幅は20-24歳層の12.8%から11.4%と同じだった。

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