先日神田界隈で行われたある飲み会にでかけた。飲み会が始まる前に予定していた用事が終わり少し時間があったので、ぷらりと立ち寄ったのが神田駅西口にある「神田スペイン食堂Ala」という店だった。客は誰も入っていない(誰も入っていない店は入り難い)が、時間が早いのでままよ、と思って入り、ワインを飲みながら、タブレットで英語の旅行ガイドブックを読んでいたら、それを見た店長が「英語関係のお仕事ですか?」と話しかけてきた。
いや、違う。今月台湾の山を登りに行くが、日本語の適当なガイドブックがないのでLonley Planetを読んでいる・・・などとの話から店長(岩崎さんという)との話が進んだ。岩崎さんによると、この店は赤坂にある「スペインクラブAla」の姉妹店で、昨年12月にオープンしたという。岩崎さんは「自分はバルセロナに旅行関係の仕事で数年暮らしたことがある。」「山登りは好きで息子と白馬などに行ったこともあるが、ここしばらく仕事が忙しくて山に登っていない」などと色々話をしてくれた。その話は間合いが良く、心地良かった。
「これは中々良い居酒屋だな」と私は思った。居酒屋というのは一般的に日本では「ビールや日本酒を中心に酒類を主に提供し、気の利いたつまみを出す」飲食店ということなのだろうが、私は「客の様子を見ながら肩の凝らない軽い話ができるマスター(あるいはおかみさん)がいる店」が一つの重要なポイントだと考えている。
だから私の定義では、アルバイト店員が端末片手に注文を聞いて回るチェーン店のような店は「飲み屋」ではあっても、居酒屋ではないことになる(無論勝手な定義だが)。
スペインで居酒屋に該当するのがbar(バル)だ。シエスタの風習が残っているスペインでは、レストランのディナー時間は早くても午後8時だが、Barはもう少し前に開いている。スペインを旅した時は、バルで小皿料理を摘まみながらワインを飲んでレストランが開くのを待っていた記憶がある。
バルには話を聞けば面白そうなマスターがいたが、こちらはスペイン語をほとんど解さないことが分ったマスターは、必要最小限のことしか話かけてこなかったが。
外国語が自由であれば、異国の居酒屋巡りは楽しいだろう。もっとも国によっては「居酒屋」文化がないところも多い。11月には2週間ほどネパールに出かける予定だが、大半が村々のロッジ泊まりである。ロッジではビール位は飲むことができるが、村に居酒屋は皆無だ。恐らく村人は自家製の焼酎(ロキシー)を時たま家で飲む程度であろうから居酒屋が育つ余地はない。
居酒屋文化はちょっとした贅沢の産物である。