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米国、中間層はもはや多数派ではなくなった

2015年12月11日 | ニュース

昨日米国の調査機関Pew Research Centerが発表した「中間層は地歩を失いつつある」というレポートは色々なメディアで取り上げられ、読者の多い記事だった。

同調査機関は中間(所得)層を「全体の所得の中央値の2/3から2倍の範囲の所得層」と定義し、家族構成により所得幅を調整している。たとえば夫婦+子ども2人の4人家族の場合、年間所得48,347ドル~145,041ドルの世帯が中間(所得)層になる。

約40年前の1971年では、中間層が総人口の61%を占めていたが、2015年には中間層は若干ながら50%を切るところまで減少した。Pewによると、今年の中間層の総人口は120.8百万人で、高所得層+低所得層121.3百万人を若干下回っている。

中間層の後退は、既に指摘されてきたことで、今年の春にギャラップが行った調査では、成人の51%が自分は中間層またはそれ以上と考え、48%は低所得層またはワーキングクラスと考えていることが明らかになった。ギャラップが2008年に行った同様の調査では63%が中間層と考えていたから、リーマンショック以降中間層の後退が著しくなっていることが分る。

今回のPewレポートは大統領選挙のキャンペーンに影響を与えそうだ。中間層受けする政策だけではなく、高所得・低所得層にも受ける政策をより多く提示する必要を候補者たちは感じるだろう。

中間層の後退はアメリカンドリームの後退であり、独立独行という精神的遺産にも変化がおきるかもしれない。

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