私たちの職場でパソコンを一般的に使い始めたのは今から20年くらい前だったろう。
その頃パソコンに不慣れな中年男性社員の間で「パソコンを使えない社員は淘汰されるのではないか?」という漠然とした不安が広がったような記憶がある。
しかし実際に淘汰されていったのは「パソコンが使えない社員」ではなく「パソコンでできるような仕事しかできない社員」だったり「パソコンしかできない社員」だったのではないか?と往時を思い出すことがある。
AI人工知能が今後現在人間が行っている仕事の5割近くを代替するという予測がある。その数字をそのまま信じる訳ではないが、かなりの日常的な仕事がAIにより機械化されることは間違いないだろう。
そしてその結果AIにはまだ対応できないと考えられる「対人関係能力」や「問題解決能力」が一層フォーカスされることになるだろう。
WSJのAs skills shift for High-Paying Jobs,women see advantages「高給取りに求められるスキルの変化で女性が有利に」という記事は次のようなことを報じていた。
- 高給取り(ここでは給与面で上位25%の職をさす)の大部分は問題解決・分析という認識的な能力cognitive skillを求められてきた。1980年代では大卒男子の66.2%、大卒女子の54.2%が問題解決などのcognitive Jobに携わってきた。
- 2014年にはcognitive Jobに携わる大卒男子の割合は61.4%に低下し、大卒女性の割合は57.8%に上昇した。
Cognitive Jobを一言で表す良い訳語が思いつかないが、医者・ソフトウエア技術者・ファイナンシャルアドバイザーなど「情報処理的な仕事」ということで話を進める。「情報を他人が発する様々な情報」まで含めて考えると共感性などで優位性を持つ女性がこの分野で活躍する場を広げているという文脈につながっていくだろう。
AI時代に求められる情報能力とは、プログラミング能力だけではなく、他人が発する暗示的な情報を受け止め共感するような能力も含まれるのではないか?と私は考えている。