昨日(3月28日)政府は「働き方改革」の実行計画をまとめた。
骨子は9つある。「非正規社員の処遇改善」「賃金引上げ」「長時間労働の是正」「転勤・再就職の支援」「柔軟な働き方」「女性・若者の活躍」「高齢者の就業促進」「子育て・介護と仕事の両立」「外国人材の受け入れ」だ。
総て方向感は正しいと思う。これらの項目に内幾つかのものについては既に先進的な企業の中では前向きに取り組んでいるところも多いと思う。しかし全般的には中々進まない。その理由は何なのだろうか?
私は大きな理由として「細かいことに関して会社毎のしきたりが違い過ぎる」ことにあると考えている。
「細かいしきたり」というと語弊があるかもしれないが、就業規則や文書作成基準などが個社によってバラバラなのだ。
かって私は会社の合併を何度か経験したことがあるが、文書作成基準についていうとA社とB社ではまず「決済印」を押す順番が違った。A社では起案者が一番右にハンコを押し、次に検討者がその右隣り、決裁者は一番左に押印する。ところがB社は反対で左端に起案者が押印し、決裁者が右端に押印する。
また自分の会社のことをいう場合にA社では「わが社」と呼びB社では「当社」と呼んでいた。A社で「当社」は相手先企業のことを指すからこれでは話がかみ合わない。
これを英語で考えると、どこの会社でも「わが社」はmy (our) companyであり、議論の余地はないだろう。
また米国では就業規則などについても「ひな形」が存在し、ごく一部の手直しで各社が利用した記憶している。
米国ではどこの会社に転職しても、細かいしきたりにあまり差がないので、転職者も即戦力として活躍できる訳だ。
ところが日本企業では「細かいしきたり・お作法」の部分に企業間の差が大きいため、それに慣れるまで活躍し難いという傾向があるのではないだろうか?
「細かいしきたり・お作法」は、企業内のコミュニケーションや人事管理等を円滑に進めるため必要なものかもしれないが、いつの間にか「正社員の雇用を守る」ために見えない砦になっていたのではないだろうか?
もし各企業が「働き方改革」に取り組むのであれば、私は「見えない砦」を取り除いていく努力をする必要があると思っている。
その切り口は情報技術の活用だ。情報技術は米国発が多く、個々の組織の枠組みを超えて汎用性が高い。情報技術の活用を進めながら企業独自のしきたり・お作法を見直していくことで、転職がしやすい環境が生まれ、色々な人の活躍の場が広がるのではないだろうか?