昨日(7月2日)の東京都議選では、都民ファーストが躍進し、自民党は大敗を喫した。
日経新聞朝刊によると、都民ファーストなど小池系が79議席を獲得し、自民党は過去最低の38議席を大幅に下回る23議席にとどまった。
日本の政治外交を専門とするジェラルド・カーティス・コロンビア大学名誉教授は、都議選の結果が出る前のロイターのインタビューに「我々は日本も英国、フランス、米国と同様、大きなPolitical surpriseを生み出す可能性があることを発見するだろう」と述べていた。
Political surprise ポリティカル・サプライズはまだ日本になじみのない言葉だ。グーグルで調べても日本語訳や日本語の解説はない。
「政治的な驚き」ということだが、これまでの政治的常識や世論調査の結果と異なる結果が選挙や国民投票の結果示されるということだろう。
例えば英国のEU離脱、米国大統領選でのトランプの勝利、フランス大統領選でのマクロンの勝利などが最近のPolitical surpriseだった。
小池都民ファーストの勝利はこれらの流れと軌を一にするというのがカーティス教授の見立てだ。
カーティス教授は3年ほど前(2014年12月)にWSJのインタビューで「日本は5年後も今の日本のままで変わらない」と述べていた。
そして「安倍首相が2018年まで首相を務めるだろう。過去に自民党が政権を失った時は党内分裂が原因で次も恐らくそうだろうが、今のところその兆しはない。野党が近い将来自民党に代わる信頼できる政策を打ち出せる可能性は極めて低い。」と述べていた。
ではこれは本当に良いことなのか?
カーティス教授は「日本は沈没することはないが、人口問題を解決して高度成長に転ずることもない。現状のままだろう」と述べていた。
教授の真意を深読みすると「政治的安定を保ちながら、緩やかなペースで坂道を下り続ける」ということなのだろう。
Political surpriseは「政治的安定性を覆し、何かをドラスチックに変える」ということだ。
今までPolitical surpriseという言葉が日本でなじみがなかったのは、驚くほどの政治体制の激変の可能性がなかったことを意味する。
都民ファーストの勝利は安倍政権の基盤を揺るがす影響力を持っている。日本でもPolitical surpriseとう言葉が市民権を得るかもしれない。