金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

資産寿命を計算する

2018年01月10日 | ライフプランニングファイル

今朝の読売新聞に「資産寿命」に関する全面広告がでていた。長寿命化の時代だから資産も運用して寿命を延ばさないと老後資金が不足します、という話である。資産寿命という言葉は半年くらい前からマスコミで目にするようになったが改めて検証してみた。

まずエクセルを使った関数計算で資産寿命を計算してみよう(面倒くさい人はすっ飛ばして後段に行ってください)。

前提は次のとおりとした。

・退職金等でリスク運用できる資産が1,000万円あるとする。

・毎月10万円(年間120万円)使って生活資金に回す

・運用利回り毎に資産がゼロになる年数を計算する

計算方法は組込関数のFVを使うことにする。エクセルに下記のような表を作り「最終元本」(すなわちFV:Future Value)にFV関数を入れる。ツールバーのWhat-If分析から「ゴールシーカー」をクリックして、最終元本がゼロになる「資産寿命」を計算させる。

その結果をグラフ化したのが次のグラフだ。

グラフは次のことを示している。

・毎月10万円づづ使うと預貯金など実質ゼロ金利の資産は1,000万円は8.33年でゼロになる。

・3%で運用すると1,000万円は9.4年でゼロになる。

・6%で運用すると1,000万円は10.9年でゼロになる。

このことから「10年で元本取崩を行う場合運用利回りが1%上昇すると資産寿命が0.3年~0.6年程延びる」(運用利回りが高くなるほど寿命の延び率が高くなる)

次に毎月5万円を使うことにして資産寿命を計算した。

・利回りゼロの場合の資産寿命は16.67年

・利回り3%で運用する場合は22.48年

・6%で運用する場合は49.28年

3%で資産運用すると資産寿命は5.81年延び、6%で資産運用すると資産寿命は32.61年延びることになる。運用利回りが高ければ高いほど複利効果で資産寿命は急速に伸びるのである。

もっとも現在のような低成長環境で毎年6%の運用成果を上げることはできないだろう。幅広く海外株式投資を行ったとしても、世界経済成長率の3%程度が目標利回りになるだろう。

それでも資産の寿命を6年近く伸ばすことができる可能性があるのだ。

私は寿命の尺度には「健康寿命」「資産寿命」「生きがい寿命」があると考えている。仮に健康で資産があっても生き甲斐のない寿命は本当の命ではない。生き甲斐を満たすにはお金がかかる。お金を使って生き甲斐を満たしながら、資産寿命を延ばすことが大切なのだ。そうすれば自ずから健康寿命はついてくる。生きがい寿命と健康寿命を決める一つの要素が資産寿命であることは間違いない。

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S&P500、半世紀ぶりの好スタート・・・

2018年01月10日 | 投資

昨日(1月9日)の米国株は好調で3市場とも高値を更新した。市場全体をカバーするS&P500は年初来6日間続投で、これは1964年以来のことだとWSJは報じている。

何十年ぶりについては、最近何十年ぶりの豪雨だとか寒波だとかあまりありがたくない話が多いが、このような話は歓迎である。もっとも余り早く走り過ぎると息切れするので、オーバーペースも困りそうだが。

走るペースについて世界経済を見ると、ほぼ現在のペースは能力一杯一杯のところに近づいてきた。

世銀はGlobal Ecomomic Prospects レポートで「今年は2008年のリーマンショック以降初めて、世界的な需給ギャップが埋まる年になるだろう」と述べている。

世界的に見ると資源輸出国では依然として需給ギャップはマイナスだが、先進国の一部では既に持続的な生産能力を上回る勢いの需要が発生し始めている。

生産能力が需要を上回っている時は物価上昇圧力がほとんど発生しないから、デフレ・ギャップという。逆に需要が生産能力を上回る状況が続くと物価上昇圧力が高まるので、インフレ・ギャップという。この言葉も10年ぶりに現役復帰する日が近そうだ。

需給ギャップを改善してきたのは世界の経済成長率の改善だ。世界銀行は、世界経済の成長率は2016年の2.4%から昨年の3%へ改善し、来年の成長率は3.1%と予想している。

一方走るペースに体力がついて行っていないリスクも高まっている。それは各国で進む高齢化であり、先進技術や技術習得に対する投資不足であり、財政赤字の拡大である。日本の場合は「日銀のETF購入」という強力なペースメーカーの存在もリスクの一つだ。

インフレの足音が聞こえると中央銀行は金融政策の引き締め転換速度を速める。これは株式市場の強気相場の幕引きとなるだろう。

とはいうものの当面目立った悪材料はなさそうだから、株価はしばらく高値を追いかけそうだ。

北朝鮮問題は懸念材料の一つだったが「南北対話」が北朝鮮のピョンチャン・オリンピック参加の方向で動いているから3月頃までは軍事的緊張が高まるリスクは低そうだ。

だがオリンピック・パラリンピックが終わった後、北朝鮮は時間稼ぎの「良いとこどり」をしただけということが明らかになり、米国と北朝鮮の緊張が再び高まるのではないかと私は感じている。

以上のようなことを考えると物価リスクと地政学的なリスクが顕在化しそうな3月上旬頃に相場に大きな動きがでるかもしれない。そしてもし多くの人がそう感じてリスクヘッジの動きをとると、転換点は前倒しになるとも私は感じている。

 

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