ウォーレン・バフェットやジョージ・ソロスと並ぶ著名な投資家ジム・ロジャースが日本とアジア各国の読者に向けて書いた本だ。
だがこの本を読んで何かに投資して一儲けしてやろうと考える人は落胆を覚えるかもしれない。
例えばロジャースは北朝鮮のポテンシャルは高いので投資したいと書いているが実際に今北朝鮮に投資できる訳ではない。
この本の中でロジャースは「人のアドバイスには耳を傾けるな」と述べ、逆に「どんな銘柄を買おうとしているか具体名を教えてください」とアドバイスを求められた時も具体的には答えないと語っている。
つまりこの本の中に安直な投資アドバイスを求めるとがっかりする可能性はある。
ロジャース自身ウォール街でビジネスを始めてすぐ資産を3倍に増やした後5ヶ月後には全財産を失ったの述べている。
そのチャプターでロジャースは「世界で最も成功した人も、その多くは失敗の経験がある。ただ失敗するなら25歳の時にした方がいい。55歳になってから大失敗するので挽回が大変になる」と述べている。
よってこの本の読者は失敗してもリカバリーができる若い人をターゲットにしていると考えるべきだ。
シニア層の人が退職金を増やそうなどと思って読む本ではない。
とはいえ私のようにこの本を買って読んでしまったというシニアの人もいるかもしれない。
その人達は投資指南よりも生き方指南を学ぶ方が良い。
ロジャースは「人は歳を重ねるごとに、変化に順応するのが難しくなる。しかし、あなたがたとえ四〇代ですでに仕事上の地位を確立していたとしても、変化を拒んでいればいずれ職を失うことになるだろう」と述べている。
キーワードは変化を拒まないということだ。すでにリタイアして職を失うことはない人でも失うものは色々ある。
環境変化をしなやかに受け止めることができるならば、失うばかりでなく新しく発見できるものもあるだろう。