WSJにボストン大学などの研究者が「同じ階層の人に較べてお金を使い過ぎていると教えてくれるスマートフォン・アプリを使うと消費支出が減り貯蓄が増える」というレポートを出していると報じていた。
National Institue on Retirement Securityという調査機関によるとミレニアル世代(1981年~1996年生まれ)の2/3は退職後の備えをしていない。また60歳以上の人で退職後の備えのある人は半数以下だと米連銀は報じている。
無駄な支出を抑える実験のため使われたのはStatusというスマートフォン・アプリだった。このアプリで利用者の年齢・収入・居住地・持ち家の有無、銀行口座などを入力して利用者のクレジット・スコアを算出して、グループ分けを行う。
そしてこのアプリから利用者の消費行動を同じグループの他の人の消費活動を比較してお金を使い過ぎているかどうかを知らせる。
その結果はどうだったか?このアプリを使い始めて2ヶ月で同じグループの人よりもお金を使い過ぎている人は平均して3%支出を削減した。
一方同じグループの人よりもお金の使い方が少ない人は平均して1%だけ支出を増やした。
この消費行動の非対称性について研究者グループは「我々は良いニュースよりも悪いニュースにより反応する傾向があるからだろう」と示唆している。
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日本でもフィナンシャルプランナーの方たちが、家計を見直して冗費を減らし貯蓄を増やすことを勧める記事を書いているのを目にすることが多い。しかしお金を使うことによって得られる満足度は人それぞれなので一般論はそれほど役に立たないかもしれない。
むしろ自分と同じような年齢層・所得層の人がどのような消費行動を取っているのか?というより具体的な消費態度の方が参考になるということなのだろう。