どこの国民にも美徳というものがある。
私がしばらくアメリカで暮らした経験に即して言うと、多くのアメリカ人に共通する美徳は「ものごとに真剣に取り組みやり通す」ことだと感じている。
私がアメリカで暮らしていた四半世紀ほど前、アメリカ人の健康志向が高まり、近所でランニングする人やロードレーサーなどスポーツバイクを走らす人が増えていた。
スポーツバイクに乗る人は、車に自転車を積んで30分以上離れたところにある自転車専用レーンのようなところに行き、自転車専用ウエアに着替え、ヘルメットをかぶり真剣に走るのである。
ランニングをする人はいつもきちんとしたランニングウエアに着替え、雨が降っても風が吹いても決めた時間に走っていたことを思い出す。
このことを思い出し、私はアメリカ人の一つの美徳は「ものごとに真剣に取り組む」ことだと改めて感じた次第だ。今回の大統領選挙で史上最高の得票率を記録したのも、真剣に取り組む美徳の現れではないか?とも私は考えている。
もっとも法廷闘争まで持ち出して、大統領の椅子にしがみつこうとしているトランプの場合は、大統領を辞めると自滅に繋がるという噂もあるので「真剣に取り組みやり通す」例に数えて良いのかどうか疑問ではあるが・・・
一方我々がアメリカ人の真剣さを考えるべき問題は、バイデン政権のクリーンエネルギー政策だろう。気候変動対策としてのクリーンエネルギー政策はバイデン政権の大きな柱だ。クリーンエネルギー政策がどの程度実現できるかは、上院の民主党・共和党勢力分布に関わるところも大きいので、私は今断言できる材料を持ち合わせていない。しかし状況予測に詳しい投資家の動きを見るとグリーンエネルギーセクターはバイデン氏勝利見通しと歩調を合わせて値上がりを続けてきた。
我々はクリーンエネルギー政策を推進しようとするアメリカ人の本気度を正面から見据えて、日本企業の対応などを見極める必要がある。
良かろうが悪かろうが、一度始めると真剣にやり通そうとするのがアメリカ人だ。もちろん「良かろうが悪かろうが」というのはレトリックで、クリーンエネルギー政策は是非遂行しなければいけない重要な政策だと私は考えている。