前回Xmindを使って「自分にとって大切なこと」を整理する方法を論じた。その時マズローの欲求5段階説を利用すると自分の欲求を階層的に整理できることが分かった。つまりある種の欲求は「自己実現」という高次元の人生の目的に繋がり、ある種の欲求は「生存欲求」といった生物の本能につながるものだということがはっきりした。
ところでマズローは晩年近くになって「至高体験が人生の究極の喜び」ということを述べている。もし至高体験を自己実現以上の欲求とすると欲求6段階説になるのだが、至高体験をする人は稀なので欲求5段階説のままで良いのかもしれない。
至高体験とは宗教的感動を伴うある種の奇跡の体験、優れた芸術に出会うとき得られる感動、美しい自然から受ける感動などを指す。
経験することが難しい至高体験だが、世界的な宗教は「巡礼の旅」という形で至高体験をするチャンスを提供している。
イスラム教によるメッカ巡礼、キリスト教のサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼、日本の四国八十八カ所お遍路などだ。
私はネパールで高度4千メートル以上の峠にあるヒンズー教と仏教の聖地ゴサインクンドを旅したことがある。山上の湖と巡りながら岩山やその向こうの白銀の氷に峰を見ているとある種の深い感動を覚えた。「至高体験」までは行かないけれどその近くまでは行ったような気がする。
聖地は特に宗教心を持っていないものにもある種の感動を与えるものなのだ。
「巡礼」でなくても旅は心を浮き立たせる。また「巡礼」という言葉は宗教を離れて「酒場巡礼」といった使い方もされる。
あるテーマに沿った旅の連続を巡礼と考えると「百名山巡り」「百名城巡り」「全国一宮巡り」なども一種の巡礼の旅だ。
自分流巡礼の旅を持つことができるシニアは豊かな人生を送ることができるだろう。
Xmindは巡礼プラン作りや旅のまとめを手助けしてくれる有力なツールだ。