先ほど(1月4日午前10時前)「1都3県に政府が緊急事態宣言の発令を検討している」というニュースが流れ、これを受けて株価は急落。日経平均は400ポイント近く下落したが、その後少し値を戻し、今は280ポイント程度の下落で推移している。
相場には緊急事態宣言時の菅首相の会見内容等を見極めたいというムードが高まっているようだ。
コロナ感染の急拡大が1都3県の知事の背中を押し、その知事たちに背中を押される形で緊急事態宣言の再発令に押しやられそうな菅政権の姿を見ると、「この内閣は指導力を失いつつあるな、と国民に思われ始めた」と思わざるを得ない。
本当に指導力を失っているのかどうかは分からないが、はっきりしていることはそう思う国民が増えていることだ。
マキャベリは君主論の中で「いかなる政体をとろうとも、国家の指導者たる者は、必要に迫られてやむをえず行ったことでも、自ら進んで選択した結果であるかのように思わせることが重要である」と述べている。
塩野七生氏は「マキャベリ語録」の中で「思慮深い人間は、ほんとうのところは行わざるをえなかった行為でも、自由意志の結果であるという印象を、相手方や周囲に植えつけることを忘れない」と説明を加えている。
「おこなわざるを得ないことをするだけであれば誰でもできる」という極論も成り立つかもしれない。だから優れた指導者は「自由意志で選択したという演技をする」ともいえる。この観点からすると後手後手の対応に回っている菅政権は国民に指導者に対する幻滅を与え始めていると言えそうだ。政権に対する個人的好みは別として。