昨日(1月30日)米国株は、GameStopなど一部の投機的な株が値上がりする中、市場全体は約2%下落した。ダウは620.74ポイント下落して、29,982.62ポイントで引けた。12月中頃に3万ドルの大台乗せを達成して以来、初めて大台を切った。
WSJなどを読むと投機的取引で相場が荒れていることを警戒した投資家の手控えなどが株価急落の原因と分析している。荒れた相場の中で恐怖指数と呼ばれるVIX指数が6.9%上昇して37%に達したことも買い意欲を失わせるものだろう。
コロナワクチン関連のニュースも相場にマイナスに作用した。
薬品・衛生用品等のコングロマリット・ジョンソンアンドジョンソンが発表したコロナワクチンの世界平均の有効性が66%とニュースを受けて同社株は3.6%下落した。
株価が下落するということは投資家の失望売りがでたということなのだが、投資家がジョンソンのワクチンのどの部分に失望したのかという点は私にはピンとこなかった。
確かに66%の有効性というのは、先行するファイザーなどの95%近い有効性に較べると低いが、ジョンソンのワクチンは常温保存でかつ1回の接種で効果を発揮する。つまり短期間に大量の人にワクチンを接種させるという点では効果的なワクチンということができる。
一方このワクチンは米国では72%の有効性が検証されたが、コロナウイルスの変異種が発見されている南アフリカについては57%の有効性が確認されるにとどまった。
CNBCのニュースを見ると一部の投資家はこのワクチンが変異種に対して効果が低いことに失望したと書かれているので、66%という全体の有効性より変異種への効果が少ないことに懸念が示されたのかもしれない。
ところで一昨日IMFのメンバーがWSJに「コロナ対策に対する自信過剰は世界金融の安全性にとって潜在的なリスクになる」と警鐘をこめた談話を発表していた。
確かに株式市場は世界中の政府と中央銀行による財政支出と金融緩和政策で経済を支えて、ワクチンの接種でコロナを封じ込めるという設計図を評価して値上がりを続けてきた。
しかしコロナウイルスの変異種などという当初の設計図になかった攪乱要因が現れると自信がぐらつく。風説の流布に近い特定銘柄の買い上げなどもまたコロナの副産物という面があるだろう。
自信過剰を戒める点では今週の荒れ相場も意味があったのかもしれない。