今日ネットで先日来行方不明になっていた巻機山の登山者が救助されるも病院で死亡が確認されたというニュースを見ました。
この遭難事故については2日前に救助ヘリが飛んだというニュースが流れた時から気になっていました。気になった理由はこの事故の前の週に巻機山のヌクビ沢ルートという道から巻機山に登っていたからです。
巻機山1,960mは山好きの人の間ではつとに知られた名山です。深田久弥の日本百名山の中の一山ですから山好きの人なら登った人も多いでしょう。また沢登りの愛好家や山スキーの愛好家も好む名山です。
大分水嶺つまり日本列島の背骨にあたる分水嶺の上に位置する巻機山の西面の水は登川を通って日本海に流れ、東面の水は奥利根湖を経て太平洋に流れます。
その西面を代表する谷が今回遭難事故のあった米子沢とヌクビ沢です。ヌクビ沢は上級者向けの登山道としてルートのかなりの部分には鎖やロープが設置されていますが、米子沢は完全に沢登りの領域です。
深田久弥は日本百名山の巻機山の中で「巻機山というやさしい名前と共に、この隠れた美しい山を、私は上越国境中の一名山として挙げたい」と書いています。
私たちが先々週登った時も頂上を覆っていた雲が一瞬切れ、草紅葉の広がる米子沢源流を垣間見ることができました。
巻機山の山頂付近は女性的ななだらかな姿ですが、豪雪と雪崩に磨かれた峡谷の岩はツルツルで、時にタフな登攀を強いられることもあります。私たちが登った時は天気に恵まれましたが、雨やまして雪が降ると谷の様相は一変し難度は高まるでしょう。名前はやさしいがタフな山というのが巻機山の本当の姿でしょう。
お亡くなりなられた方のご冥福をお祈りいたします。