金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

日銀の「指し値オペ」は世界の潮流に逆行

2022年02月11日 | 投資
 最近日本の経済や金融が英語の経済紙の記事になることは滅多にないが、今日のWSJに日銀が連休前に発表した「国債の指し値オペ」の話が取り上げられていた。
 10年物国債の利回りは昨日0.23%に近づいたが、日銀は連休明けの14日(月曜日)に0.25%で無制限に同国債を買い入れると発表した。
 これは14日までにそれ以上の利回りで国債を売ると馬鹿を見るという強いメッセージだ。債券は流通利回りが上昇すると価格は下落するので、週明けになれば0.25%の利回りに相当する値段で売れるものをそれ以下の値段で売ること、つまり流通利回りが上昇することに歯止めをかける強い手段を日銀は打った訳だ。
 今米国はインフレ加速に頭を痛めている。昨日発表された1月の消費者物価指数は前年同月比7.5%の上昇だった。これに較べて日本の12月のインフレ率はわずかに0.8%だった。米国では昨日10年債の流通利回りが2%台に乗ってきた。債券利回りはインフレと連動するとともに経済成長率の鏡でもある。
 急速なインフレは消費者を直撃する。特に年金受給者層が多い日本でもしアメリカ並みのインフレが起きるとパニックに陥る消費者が多そうだ。
 アメリカでは今回のインフレで家計支出が276ドル(約3万円)増加するという試算がある。3万円も家計支出が増えると赤字に転落する年金受給者が増えるだろう。
 だから日本は本当はアメリカよりもインフレに警戒心を高める必要があるのだ。しかし現実はラーメンやコーラなど一部の食料品で値上げの声は聞かれるものの多くの物価はまだ落ち着いている。
 インフレ対策を強化しているのはアメリカだけではない。英国中央銀行も政策金利を引き上げた。先進国はパンデミックから脱しつつあり、金融政策をアクセルからブレーキに変えている。
 今なおアクセルペダルに足を置いたままの日本の姿は欧米のマスコミには奇異に映ったのだろう。このまま行くとに米金利差からドル円為替は円安に振れ、円安は輸入物価を押し上げ、日本でもエネルギー価格や穀物価格の上昇が始まることは間違いない。過度の低金利政策は副作用が大きいだろう。
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予想より高いインフレ率で債券、株が売られた

2022年02月11日 | 投資
 昨日(2月10日)に米国労働省が発表した1月の消費者物価指数CPIは前年同月比7.5%上昇した(12月は7%)。これは1982年2月以降で一番の急上昇だった。
 食料・エネルギーを除くコアインフレ率は6%でこちらも12月の5.5%を上回った。
 WSJによるとエコノミストの事前予想では1月のコアインフレ率は前月比0.4%上昇というものだったが、昨日発表された数字は前月比0.6%だった。 物価上昇をけん引したのは、中古車やガソリンで前年比40%のアップ。またエネルギー価格も前年比27%上昇した。
 ある調査によるとこのインフレで中産階級の生活費は月当たり276ドル(約3万2千円)上昇すると予想されるそうだ。インフレが収まらないと賃金引上げ要求が高まることは間違いない。
 予想よりも高いインフレ率は、連銀の金融引締めの強化を想起させ、金利が上昇し、10年債利回りは2%に乗った。これは2019年中頃以降で初めてのことだ。
 前日まで上昇基調だったが株も大きく売り込まれ、S&P500は1.8%、ナスダックは2.1%、ダウは1.5%下落した。

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