金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

シニア層はIT技術に何を期待するのか?~アメリカの例から~

2023年04月03日 | デジタル・インターネット
 今日(4月3日)の読売新聞朝刊投書欄(気流)に次のような投書が掲載されていた。題は「スマホで予約 悪戦苦闘」投稿者は66歳の介護福祉士の人で内容は次のとおり。「観光列車のチケットを買った時、社内ででる弁当を注文しようとするとインターネットで予約して欲しいと言われた。窓口で自分のスマホを出し操作を教えてもらおうとしたが、その機種の操作はわからないといわれ、携帯電話会社に相談したがうまく行かなかった。悪戦苦闘して自力で予約したが、スマホが苦手な高齢者は弁当を買うのも苦労するのかと落胆した」
 今人手不足やDXの推進により、キャッシュレス支払など日常生活の色々な場面でスマートフォンなどIT機器の利用が必要になっていきている。この傾向は不可逆的に進んでいく。つまり高齢者もIT機器の利用に慣れていかないと住み難い時代がそこまで来ていることは間違いない。逆に考えるとIT機器をある程度使うことができると生活の地平線が広がるということもできる。
 この状況をマズローの欲求五段階説で考えると弁当の予約で苦労するのは一番最初の「生理的欲求」の段階の話だ。食事がとれるかどうかは生存に関わる話で、私は観光列車をアレンジする業者が、顧客の弁当注文を具体的にヘルプするべきだと考えている。スマホの操作等については不慣れなシニア向けに動画で説明するなど配慮が必要だろう。
 ところでWSJにOlder Adults Are Obsessed With These Five Tech Topicsという記事がでていた。高齢者はITの5つの分野に夢中になっている、という記事だ。
 それがどの分野か?というと「健康管理のためのスマートウオッチ」「音声操作のホームアシスト」「動画配信のストリーミングサービス」「パスワード保護」「詐欺の防止」だ。
 iPhoneと連動するアップルウオッチやアンドロイドと連動するFitBitを着けて運動する人は日本でも増えている。
 1日あるいは1週間でどれ位運動すれば良いか?ということは色々な学会の発表にばらつきはあるが、1日7,8千歩の歩行を続けていれば健康上プラスであることは間違いない。世界最大の高齢者NPO団体AARPによるとアメリカの高齢者の28%がスマートウォッチのようなウェアラブル端末を所有し、その内77%が毎日使用しているということだ。
 ウェアラブル端末には運動量の把握だけでなく脈拍や深部体温を把握する機能があるから、体調不良が起きたときの異常検知にも使うことができる。
 ホームアシストについては高齢者の1/3が所有し、所有者の約6割が毎日使用しているそうだ。
 ストリーミングサービスについては日本ではNHKプラスなどテレビ番組の再放送サービスが広がっている。高齢者向けのストレッチ番組を充実させると健康促進に役立つのではないだろうか?
 一方ネット社会が進むとそれに平仄を合わせるように詐欺など悪用者も増える。
 詐欺防止の具体的対策を色々な形でシニア層に伝える努力も必要だ。
 IT機器や技術を活用してより高い社会的要求を充足していくために、官民・高齢者が一緒になって知恵を絞る時代になったことを認識するべきだろう。

 
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