この所日本株は比較的堅調に推移している。これは米国で利上げ打ち止め感が出て、米株が堅調に推移していることが大きいが、安倍内閣発足を好感している面もあると考える。株式相場というものは常に気が早く先取り先取りで動くものだ。もっとも東証株価指数が1641(22日終値)まで戻しているのは戻りピッチが早過ぎるだろう。これでは今年の年末のフェアバリューまで先取りしているかもしれない。
さて安倍政権発足となると、規制緩和促進から金融・放送・通信等が上昇する余地が高いというのが、証券会社筋の説明だ。
金融関係といえば、今日のウオール・ストリート・ジャーナル(ネット版)に三菱UFJの畔柳頭取が、増配の意向を示したという記事が出ていた。記事によると「詳細について話すことは出来ないが、我々は積極的に利益を還元することでステーク・ホールダーの信頼を勝ち取って生きたい」と同頭取は言う。公的資金を既に返済したので今後は利益を投資家、顧客、その他のステークホールダーに還元していきたいというのが主旨だ。
邦銀の配当性向はきわめて低い。前期の三菱UFJの配当性向は5.9%に過ぎないが、世界的な意味でライバルのシティの配当性向は約4割だし、金融機関以外の日本の会社の配当性向は約2割だ。三菱UFJの配当利回りは0.45%だが、仮に同行が配当を3倍に引き上げるとすると、これは配当利回りで買える水準になるだろう。
金融業界全般に言えば今後の課題と収益チャンスは次の点にある。
一つは地方金融の問題だ。貸出金を思うように伸ばせないので、公的資金負担の重い地銀を中心に今後再編が進むと見ておいて良いだろう。次は消費者金融の問題だ。私は何らかの形でこの分野に大手銀行がもっと直接的なコミットをしていく必要性と可能性があると考えている。その次は富裕層や今後退職金を受取る団塊の世代を相手にした、資産運用ビジネスだ。最後は円金利の上昇問題だ。三菱UFJの様な大手銀行には、決済性資金として大量の無利息資金が滞留している。ゼロ金利時代はこれは重荷だったが、金利が上昇してくるとこの無利息資金は大きな収益源になる。この様な課題や収益チャンスは地方銀行や信託銀行より大手行に特に有利に働くと私は見ている。
従って大手銀行特に三菱UFJの株には今後上昇余地がある思っている。ただし安倍内閣ご祝儀相場が剥げる局面では銀行株も一端はコレクションされるだろう。
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