昨日(1月29日)法務省・相続法制検討ワーキングチームは「相続時における配偶者の居住権の新設」などの提案を盛り込んだ報告書案(議事概要)を公表した。
昨年法務省がワーキングチームを立ち上げた直接の背景は、一昨年に「婚外子への遺産相続格差をなくす」民法改正により、配偶者の法定相続分が減り、配偶者が自宅に住めなくなる可能性があるという懸念の声が上がったことだ。
これに加えて報告書案では「寄与分の見直し」なども提案されている。現行法上「寄与分が認められる」のは、「被相続人の財産の維持または増加」について「特別の寄与」があった場合で、通常療養看護で寄与分が認められるのは相当難しいと言われている。
報告書案では、療養看護についても貢献させる案も提示した。一方でこのような寄与分の改正を行った場合、療養看護の度合いの算定を巡り相続争いが一層複雑化する可能性があるとも指摘している。
マスコミによると「川上法相は2月の法制審議会総会で、民法改正に向けた検討を諮問する見通し」だそうだが、果たして民法の大改正が行われるかどうかは私には分らない。仮に民法が改正されて「療養介護寄与」などが認められたとしても、それが相続争いを減らすのかあるいは相続争いを更に複雑化させるのかも分らない。
そもそも生存配偶者に自宅居住権を含めた十分な生活基盤を残すことや療養看護に貢献してくれた人に遺産配分で上乗せを図るには、やはりしっかりした遺言書に頼るべきであろう。そして更にはしっかりしたライフプランの中で相続を位置付けていくことが肝心なのだろう。法律は生存配偶者保護などのボトムラインを引き上げる可能性はあるが、争いの火種を消してくれる訳ではないのだ。
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