WSJにS&P500社の一般従業員給与(中央値)に関する記事がでていた。米国で話題になるのは、経営トップがどれほど稼いだか?という話で、一般従業員の給与はそれほど話題にならなかった。
ところがドットフランク法による従業員給与の開示が今年から施行されることになり、会社毎の一般従業員の給与水準が明らかになった。
記事のタイトルはBest-Paying industry? It's not banking(どの業界が一番給与が良いの? それは銀行ではありません)。
タイトルからするとアメリカでもBankingが一番給与が良いと世間では思われていたのだろうか?
正確にいうとBankingはInvestment Bankingというべきだ。つまり投資銀行。日本でいうと銀行より証券会社に近い存在だ。実は私も投資銀行の代表格であるゴールドマンサックスの給与がトップクラスと思っていたが、記事によるとゴールドマンの給与は135,165ドルで500社中46位である。
他人の会社の給与、ましてアメリカの会社の給与など知ったところで意味はない?(あるとすれば株式投資の判断材料か?)が、それなりに興味深く読んでみた。
一番給与が良かったのは、製薬会社のIncyteで中央値は253,000ドル。2位はフェイスブックで240,430ドルだった。
因みにS&P500の中で4社の給与(中央値)が20万ドル(約22百万円)を超えている。
日本の上場企業で、平均年収が2千万円を超えているのはM&AアドバイザーGCAの2,139万円だけだ。
日本の上場企業では平均給与が高い業種に、メディア(テレビ放送)、商社、商業銀行などが入るところがアメリカと対比が際立っている。
だがもっと重要なことは「平均給与が高い業種の従業員規模」だろう。アメリカのエネルギー業界は給与の高い業種でかつ従業員が60万人以上いるという。これに比べると日本のテレビ業界の従業員は数千名なので給与が高くても(朝日放送で年収15百万円)経済全体に対する影響力は小さいのだ。
これから伸びていく業種が高い給与を払って才能豊かな人材を確保しようとしているところにアメリカ経済のダイナミズムを感じた。
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