金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

血糖値を押さえる食事

2008年12月22日 | 食・レシピ

ダイエットに特別強い関心はなかったが、ニューヨーク・タイムズを読んでいると「血糖値を押さえるには豆やナッツが良いだろう」という記事が出ていた。健康食や食事療法というものは、時々変わるのでどれ程当てにして良いかは疑問だが、グリセミック指数の開発者であるジェンキンス教授の研究なのでそれなりに信用できる話だと私は思っている。

グリセミック指数GI指数とは消化された食べ物が血糖値を上昇させる速度をブドウ糖を100として相対的に示したものだ。この指数が低い食べ物ほどインシュリンの分泌を押さえることができる。

今回の研究では210名の2型糖尿病患者を2グループに分けて、一つのグループにはGI指数の低い食品(豆、レンティル豆、パスタなど)をもう一つのグループにはシリアル(全粒パンなど)や高繊維質の食品を与えた。

6ヶ月後の結果を見るとGI指数の低い食品を取ったグループでは、ヘモグロビンA1Cレベル(ヘモグロビンと結びついた血糖:中期間の血糖値の指標)の若干の低下とHDL(善玉コレステロール)の顕著な増加があった。一方シリアルグループではヘモグロビンA1CとHDLの若干の減少があった。

この研究の結果は長年言われてきた「ホールグレイン(漂白していない食物)を食べるだけでは不十分でGI指数が低い食品を食べることが重要」ということを示している。ところがボストン糖尿病センターのある指導員は「GI指数は食品の調理方法によっても変わるので、食事療法は複雑である」といっていた。

折角だからどのような食品がGI指数が高くて、どのような食品が低いかあるホームページで調べてみた。http://www.rakuten.co.jp/keyray/678801/679603/ 

高いのは餅・白米で85程度。主食系で低いのは玄米56、全粒パン55。やさいではジャガイモが90と高い。大豆は30と低い。アーモンドやピーナツも30程度と低い。ただしこちらはかなりカロリーが高いが。なおざっとみたところでは海藻類はGI指数が12-19程度と非常に低かった。またカロリーも低いので健康食と思われる。もっとも米国などでは海藻類はSeaweedといって軽蔑しているようなので健康食の対象にはしなかったのだろう。因みにWeedには雑草という意味の他に「嫌な奴」とか「痩せてひょろひょろの奴」という意味がある。

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【書評】二列目の人生

2008年12月21日 | 本と雑誌

異常な程暖かい週末である。日当たりの良い二階では暖房を必要としない。陽だまりの中で「二列目の人生 隠れた異才たち」(池内 紀・集英社文庫)を読んだ。この本は15人の異才を紹介しているが、この本を読む前から知っていた人物が少ない。数少ない人物の一人は「モラエス」だ。ポルトガルはリスボン生まれのモラエスは30年間日本に住み「日本通信」を残した。彼のことは司馬遼太郎の「街道を行く」や藤原正彦の小説に出てくるので、知っている人は多いかも知れない。

著者の池内 紀(おさむ)がどのような基準で15人を選んだかというと、「はじめに」の中に次の文章がある。「たしかに(彼等には)共通して『依怙地なところ」があった。・・・・・一筋縄でいかない反面、そういう人に特有の軽る味とか愛嬌があって、どこかシャレているものだ。依怙地さが窮屈というのではなく、自分なりの自由さを確保したのにあたるからだろう。」

「懐石料理」などの料理本を書いた魚谷 常吉を紹介した文章には次のような言葉が出てくる。「ものみな軍事一色に染まっていく時代にあって、料理の本を書きつづけるには、あるはっきりした「思想」があってのことにちがいない。おいしい食物をたのしく食べるのが文化であって、それを保証するのが国の政治なのだ」

そう「二列目の人生」を歩いた人達は名声・金銭といったものに関心がない。彼等にとって大切なことは、自由と自分に納得の行く生き方、技術や芸術・学問といった永遠の価値に対するあくなき追求芯である。

妙に硬い話になったが、私は寝転がりながら「二列目の人生」を楽しんだ。個性が乏しいと言われる日本人だがここには豊かな個性と実りのある人生がある。「個性が乏しい」などというのは、表街道を歩いた人達の自虐の言葉なのかもしれない。

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二日酔いには岩盤浴

2008年12月20日 | うんちく・小ネタ

昨日はかなり飲み過ぎた。青森県人三人と神田の「はねと」という店で田酒を飲み過ぎたのが応えた。お酒を早く抜こうと思って東久留米の「お風呂の王様」まで自転車で出かけた。暖かい日なので自転車が心地よい。以前は車でこのスーパー銭湯に通っていたが、自転車を活用するようになると、自転車の距離である。

入浴料は580円(会員料金)、横に岩盤浴200円(通常400円)と書いてあるので、生まれて初めて岩盤浴に挑戦することにした。岩盤浴は30分間の予約制だ。まず2階の色々なタイプのお風呂に入って手足を伸ばす。気持ちが良いのは屋外にある「寝そべりの湯」という深さ5cm位の浅い浅い風呂だ。寝そべっても背中しかお湯に浸らない。お腹側から放熱するのでゆっくり入っていることができる。

さて予約の時間がきていよいよ岩盤浴に入る。受付で貸してもらった厚いタオル地の上下を着て、タオル地の敷布を人造石の床に広げてその上で仰向けになる。14,5人入ることのできるスペース(一人一人に低い間仕切りあり)には、4人だけが寝転がる。午前11時とまだ早い時間なのだ。相客?の3人は皆女性。女性は朝早くから健康と美容にはげんでいる。二日酔いの人はいないだろう。

室内を低く流れるヒーリング音楽を聴いている内に汗がどんどん出てくる。床をじかに触ってもそれ程暑く感じないが、遠赤外線が体の芯を温めて新陳代謝を高めるという効能書きだ。

30分経って外に出ると少し湯にのぼせたような感じがした。そこでまた屋外の「寝そべりの湯」で休む。雲ひとつない青い空が広がる。田舎の温泉のようだ。正午近くに「お風呂の王様」を出ると駐車場にはかなり車が入っていた。不景気の折、スーパー銭湯は手頃なレジャーとして流行っているのだろうか(もっとも昔から結構混んでいたが)

家に帰って昼食を食べた後も日当たりの良い二階で寝袋に入って暫くゴロゴロしていた。岩盤浴には「お酒を飲んで入ってはいけません」という注意書きがあった。岩盤浴で少しのぼせたのは昨日のお酒が残っていたせいなのか、たまたまの湯当たりなのかは分からない。

ただ岩盤浴には普通のお風呂より体力がいることは確かだ。

なお「お風呂の王様」には花小金井店もあることが、帰宅してから分かった。ホームページによるとこちらは天然温泉で入浴料も少し高い。因みに岩盤浴は700円とあった。

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銀行が必要な自己資本比率は14%

2008年12月19日 | 金融

BISの自己資本規制が「国際業務を営む銀行は最低8%」「国内基準行は最低4%」ということは良く知られている。ところが最近エコノミスト誌に連銀の前会長グリーンスパン氏が「銀行はもっと高い自己資本比率が必要だ。ラフな推定をすると14%位必要だろう」という小論文を寄稿していた。

何故14%と推定するのか?という根拠から見てみよう。グリーンスパン氏は銀行の破綻リスクの物指として3ヶ月LiborとOIS(Overnight Index Swap)のスプレッドを使って説明している。OISとはオーバーナイト金利と固定金利の交換を行う金利スワップで期間は3ヶ月程度だ。通常3ヶ月LiborとOISのスプレッドは10bp程度だったが、リーマン・ブラザースの破綻した直後364bpに達した。つまり一夜限りの与信と3ヶ月の与信では3.6%も違いがある、それ程銀行に資金を出す人は銀行の債務不履行リスクが高いと見ていた訳だ。

先月米国ではTARP(不良債権買取プログラム)から、2,500億ドルの資本が銀行に注入された。これは自己資本比率を2%押し上げる効果があった。これにより3ヶ月LiborとOISの開きは半分に縮小した。米国の銀行の自己資本比率は、金融危機以前は平均10%だったので、3ヶ月LiborとOISの開きを正常ベースに戻すには更に2%自己資本比率を向上させる必要がある・・・というのがグリーンスパン氏の推論根拠である。

つまり銀行に資金を出す投資家は10%の自己資本比率ではクッションとして不十分で、もっと厚いクッションが欲しい、それには後4%の自己資本比率の向上が必要だろうという話。

エコノミスト誌についている米国商業銀行の自己資本比率の推移グラフを見ると1930年代は15%程度の自己資本比率があったがその後低下して10%を切り、2000年代に入って10%程度まで戻っている。

昨今貸し渋りが問題になっているので、ある国内基準行の融資マンに「あなたのところは、国内行でしょ。自己資本比率は4%で良いのだからもっと貸したらどうですか?」と質問したところ答は「でもアナリストや株式市場は国際行基準で見ているのですよ。だから国内行といえども8%は守らないと」というものだった。

グリーンスパン氏の小論文がどれ程インパクトを持つかどうか分からないが、大手行が自己資本比率の基準の目線を上げる一つの指標になるかもしれない。

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デトロイトの倒産確率75%

2008年12月18日 | 社会・経済

ムーディーズは16日にビッグ3の将来に関する3つのシナリオの確率を発表していた。第一は政府支援により近未来のチャプター11を回避する確率が25%、第二の政府主導のプリパッケージド・バンクラプシーの確率は70%、第三は突然死的な破産で確率は5%だ。第二と第三のシナリオを合計すると75%だ。

このような予想は自己実現的な要素を持っている。つまりビッグ3が倒産する確率が高いと判断する消費者は、ビッグ3の車をますます買わなくなる。また自動車メーカーが倒産することに恐怖を持つディーラー達は、自動車メーカーがチャプター11を申請する前にできるだけ、在庫資金を借りようとする。米国では自動車メーカーが出荷する自動車代金の75%程度を融資しているようだが、これをできる限り使おうとする訳だ。こうなるとクライスラーなど自動車メーカーはますます資金繰りが厳しくなり、現金不足から倒産する可能性が高まる。

10年程前日本で金融危機が起きた時ムーディーズの格付を見て預金者が、格付の低い銀行から預金を引き出すことに奔走した時代があった。その結果銀行の合併等金融再編が進んだ。このように格付とは非常に強い力を持っている。そして時としてその予想は自己実現的である。

ムーディーズの予想と関係があるのかどうかは知らないが、昨日クライスラーは今週末から30の総ての工場を最低1ヶ月間操業停止すると発表した。ニューヨーク・タイムズによると、ビッグ3の年末休業は通常は2週間だが、フォードも休業期間を1週間延ばすということだ。

休みが空けたら、会社がなかった・・・・という悪い冗談が起こらなければと思うが、ありえない話ではない。デトロイトの冬は寒そうだ。

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