金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

桜花は散り際が良い・・・

2017年04月13日 | ライフプランニングファイル

今年の桜の季節は開花情報の後、寒い日が続いたこともあり、開花時期が長かったような気がする。

さすがにその桜も散り始めてきた。桜は満開を過ぎて散り始める頃が良いと思った。

昔から散り始める桜が好きだったかどうかは分からない。多分今月初めに父を失い、花見気分でなかったことが散り始めた桜を愛でる気持ちにさせているのかもしれない。

桜には「死のイメージ」がつきまとう。梶井基次郎が「桜の樹の下には屍体が埋まっている」と表現したのは端的な例だ。

西行は「願わくば花の下にて春死なむ その如月の望月の頃」と詠んだ。旧暦の如月(2月)の満月の頃は新暦では4月の最初というから、桜の花盛りだ。

死のイメージにつながる桜は半開ではなく、散る桜だろう。梶井基次郎や西行の頭にあった桜は満開から散り始める桜だったのではないだろうか?

桜が死につながるのは、古事記にさかのぼる。天孫降臨で九州に降ってきたニニギノミコトは、そこで出会った美しいコノハナサクヤヒメに一目ぼれして、娘の父親のオオヤマツミノカミに娘を嫁に貰いたいと申し出た。

オオヤマツミノカミは二人の娘~美しい姿ながら命はかない妹のコノハナサクヤヒメと醜い姿ながら永遠の命を持つイワナガヒメ~を一緒に嫁がせることにした。

だがニニギノミコトは美しいコノハナサクヤヒメだけを娶り、醜いイワナガヒメを父の元に帰してしまった。屈辱を味わったイワナガヒメは「自分を娶らば子孫は長寿となったが、容姿だけにひかれて妹だけを妻にしてしまったのね。あなたの子孫は花のように美しく生まれるでしょうが、命は花のようにはかなく、美しさも衰えるだろう」と呪ったのである。

細川ガラシャは「散りぬべき時知りてこそ世の中の花も花なれ人もひとなれ」と辞世の句を詠んだ。

イワナガヒメの呪いにも拘わらず、現代の日本人は長寿になった。しかし長寿だけでは幸せとは限らないというから人間の業は深い。

散り始めた桜は人を思索に導く。花は散り際が良い。

 

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トランプ大統領、中国の為替操作国認定を中止

2017年04月13日 | ニュース

対米貿易で巨大な黒字を抱える「中国を為替操作国に認定する」ことを選挙運動期間中掲げていたトランプ大統領が昨日認定しないと発表した。

米国の財務書は年2回為替政策報告書を議会に提出し、為替相場を不当に操作している国を為替操作国と認定している。今週後半に同報告書が提出される予定だが、中国を為替操作国と名指ししないということだ。

WSJは大統領のコメントについて「大統領が意見を変えた理由は『数か月間人民元の操作を行っていないこと』と『為替操作国に認定すると北朝鮮問題での中国との協力関係を傷つける可能性がある』」からだと解説している。

またトランプ大統領はWSJのインタビューで「米ドルは強くなりすぎていて、米国経済を傷つけるかもしれない」「米国の金利が低い水準にとどまることを期待している」と述べた。

大統領が連銀の領域である金利についてコメントすることは異例であり、財務省の直轄事項であるドルの通貨価値に言及することも異例だ。

またトランプ大統領は連銀のイエレン議長を尊敬しており、彼女の2018年の任期終了はnot toastだと述べた。

Toastは「焼いたパン」だが、俗語で「だめだ。おいまいだ」という意味がある。つまりイエレン議長は2018年に更迭しないというメッセージを送った訳だ。うがった見方をすると「再任してあげるから、あまり金融引き締めをするな」というサジェスチョンと言えるだろう。

大統領選挙期間中、トランプ大統領は「イエレン連銀議長は金利を低過ぎる水準に据え置いている」と批判を繰り返してきたが、ここにきて前言を翻し、「高金利はドル高を招き、輸出産業と製造業を傷つける」と述べている。

市場ではトランプ大統領の発言を受けて、ドル、長期金利、株価が下落した。

対中国政策で選挙公約から離脱したトランプだが、高まる北朝鮮リスクを考えると中国に対して強硬姿勢を取るのは得策でないという判断が働いた訳だ。さて中国の「北朝鮮に対する経済制裁の本気度」はどれくらいなのだろうか?

昨日ロイターのニュースを見ると「北朝鮮から来た石炭輸出船をそのまま追い返した(中国の輸入業者に輸入を禁じた)」という記事が出ていた。もし外貨獲得の主要手段である中国に対する石炭輸出をストップされると、北朝鮮は本当に兵糧攻めにあう。

果たして金正恩は兵糧攻めに屈して核開発を思いとどまるのだろうか?あるいは捨て鉢的な行動にでるのだろうか?

ロイターによると、北朝鮮はピョンヤンにいる約200名の外国人ジャーナリストに「大規模かつ重要なイベントに備えるように」と伝えた。

4月15日の故金日成主席の生誕105周年の記念日に何等かの軍事的なイベントがあることを示唆するニュースだが詳細は分からない。

ただ不気味な緊張感が高まっている。

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鴻海(ホンハイ)が東芝のメモリー事業を3兆円で買収を提示

2017年04月12日 | ニュース

WSJによると台湾の鴻海精密工業が東芝にメモリー事業に最大3兆円を支払う用意があると伝えた。

メモリー事業は2兆円が適正価格と言われているので、3兆円は5割アップの魅力的なオファーに見える。東芝のメモリー事業は人工知能などで使われるNAND型フラッシュメモリー市場でのシェアが2割と言われている。鴻海はこの分野で大規模な展開をまだ行っていないので、東芝のメモリー事業を手に入れると世界トップのサムソン電子を追撃できる体制が整うから、高値をつけてきたとWSJは解説している。

鴻海はシャープを買収した時、数ヶ月の交渉を経て、取引額を4割下げることに成功したから、柳の下のどじょうを狙っているのかもしれない。

いずれにせよ、3兆円という価格はアンカーリング効果を呼び、買収競争相手に圧力をかけることは間違いない。

米国の原発子会社ウエスティングハウスが買収したストーン&ウエブスター社が抱えていた7千億円規模の巨額の損失に引き倒されそうになっている東芝。鴻海が魅力的に見える価格を提示してきたと噂されるが、買収は下駄を履くまで分からないと見ておくべきだろう。

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シリアへのミサイル攻撃、米国民の支持は5割と歴史的に低いレベル

2017年04月11日 | ライフプランニングファイル

ギャラップの調査によると、先週のシリアに対するミサイル攻撃の米国民の支持率は50%、不支持は41%だった。

過去の米軍の軍事行動に対する国民の支持率に比べて低い水準である。

過去の軍事行動で支持率が高かったのは2001年10月のはアフガニスタン空爆で90%の国民が支持した。これは同年10月2日にNATOが集団自衛権を発動し、米英を始めとする有志国連合が10月7日から空爆を開始したものだった。

次に支持率が高かったのは、19993年1月17日にブッシュ大統領が退任3日前に行ったバグダッドの軍需工場に対するトマホークミサイル攻撃で83%の米国人が支持した。

一方一番支持率が低かったのは、2011年3月に行ったリビアでのカダフィ政府軍への空爆やトマホークミサイルによる攻撃で国民の支持率は47%にとどまった。ただこの軍事行動に対しては不支持も37%とあまり高くなく「よくわからない」という意見が多かったようだ。

今回のシリア攻撃の支持率はリビア攻撃についで低い。支持政党別では民主党支持者の82%がシリア攻撃を支持したのに対し、民主党支持者の支持は33%にとどまり、不支持は61%だった。

なおシリア攻撃によりトランプ大統領の支持率には変化は起きていない。彼の支持率は4割と低い水準で推移している。

 

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米国人の中国への見方は好転している

2017年04月10日 | 国際・政治

先週末フロリダで行われたトランプ大統領・習近平主席の会談。外交面での具体的な成果はなかったようだが、米中双方にとって内政面では多少プラスがあったかもしれない。トランプ大統領は中国に対して強気の姿勢を示し、習主席は大人の対応を示したことで、国内的には少し点数を稼いだのではないか?

もっとも夕食の席でシリア空爆の話を聞いた時、習主席は化学兵器の使用に対する米国の制裁に一定の理解を示したようだが、その後新華社通信は米国のシリア攻撃を非難しているので、今後中国がどのように対応してくるかは分からないが。

ある中国のアナリストは「シリアは核を持っていないので、報復攻撃をされる懸念はなかったが、北朝鮮は核を持っているので、米国の先制攻撃は北朝鮮の報復攻撃を招く」と警鐘を鳴らしている。

きな臭いトピックが続く中で、もう少しファンダメンタルな面、つまり米国人全般の中国に対する世論の動向を見ると、米国の景気回復により最近の中国に対する見方が好転していることがピューリサーチの調査で分かった。

この調査結果は4月4日つまり首脳会談の直前に発表されたものだが、それによると中国に対する好意的な見方は昨年の37%から44%に上昇し、批判的な見方は55%から47%に減少している。

トランプ政権は米中貿易不均衡を大きな外交課題に掲げているが、世論調査の結果では、貿易不均衡を懸念材料とする意見は2012年の61%から今年の調査時点の44%に一貫して減少している。

ピューリサーチはその理由の一つとして、米国の景気改善(そして雇用市場の改善)をあげている。つまり「中国に職を奪われている」という不満が減少していることがうかがえる。

少し端折った言い方をすれば「金持ち喧嘩せず」ということで、自国の経済状態が改善すると競争相手に対する寛容度が高まるということだろう。米中が貿易不均衡に向けて100日計画を策定することで合意した意義は大きいかもしれない。

なおピューリサーチの調査によると、全般的に中国に対する見方は好転しているが、サイバーアタックに関する懸念は2012年の50%から直近の55%に高まっていた。

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