金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ハイブリッド・スキルがロボットに負けないスキル

2019年01月24日 | 資格・転職・就職

少し前に顧問先で「これからのIT企画に必要な人材・スキルは?」ということについて意見を交換した。

多かった疑問は「IT企画をするにはどれ位のITスキルが要るのか?」「ITスキルがあればIT企画ができるのか?」というものだった。

これに対する私の回答は「ITの対象分野~ネットワーク・アプリケーションなど~で求められるITスキルは異なるが、会社の目指すところ~事務処理の合理化とか情報共有とか~をきちんと理解し、ITもそれを実現する一つのツールととらえる経営企画的センスが必要」というものだった。

しかしITスキルと経営企画的センスを備え持つ人材というのは沢山いる訳ではない。だからスキルとセンスを備え持つ人がいると重宝されるのである・・・などと考えていたところ、WSJでThe 'Hybrid'skills that tomorrow's jobs will requireという記事を目にした。

記事の内容は私が考えていたこととほぼ重なるが、給与面の具体的データなどがわかるので記事の内容をざっと紹介したい。

  • 人間の脳は素晴らしいコンピュータで、二つの半球に分かれている。左脳は論理的・分析的思考を担い、右脳は直観や創造性を担う。
  • ハイブリッド・スキルという概念は左脳と右脳がともに有効に活用された状態、つまり論理的・分析的手法に精通しながら直観力や創造性を活用している状態を指す。
  • ボストンの労働市場分析会社Burning Glass Technologiesによると、同社は今後10年間の雇用の伸びを10%と予測しているが、ハイブリッド・スキルが期待される仕事については21%の伸びを予測している。
  • 給料の面では、典型的なマーケッティング・マネージャーの稼ぎは年7万1千ドルだが、SQL(データベース・プログラム)に長けたマーケッティング・マネージャーの場合の年収は10万ドルである。つまりSQL技術が41%のプレミアムを生んでいる訳だ。
  • 一方技術レベルをアップデートできない人には仕事のチャンスが減っている。2013年に広告関連で分析技術が求められた割合は、20ポジションに1つだったが、2018年には13ポジションに1つに高まっている。
  • ハイブリッド・スキルについては、ロボットによる自動化に取って代わられるリスクは12%で、全職業の42%に較べるとはるかに低い。

私がサラリーマンをしていた頃は、ハイブリッド・スキルという言葉はなかったが、一つの分野で専門性を高めるとともにジェネラリストとしても幅を身につけろ、と教えられたことはあった。

これも右脳と左脳双方を使うという意味ではハイブリッド型なのだが、ここで紹介したハイブリッド・スキルとは少し異なるようだ。

どう異なるか?というとハイブリッド・スキルでは異なる二つの分野で高い専門性を求められる点だ。

なおハイブリッド・スキルは大学で学ぶことができるものではない。つまり会社である実務に従事しながら(あるいは従事した後)学習して学ばなければならないものである。つまり将来ロボットに負けないためには生涯学習が必要で学習内容はハイブリッド・スキルの獲得と要約することが可能かもしれない。

ハイブリッド技術の一つはデータ分析技術などデータサイエンスに関わるものが多いようだ。マーケッティングやモノづくりである程度経験を積み、専門性を持って「定性的判断」ができるよになった人が「定量的分析」を行って、自分と組織の判断の客観性を高めるというのが一つのパターンだろう。

ハイブリッド・スキルは働き方改革の一つの具体的目安かもしれない。

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e-Taxで確定申告終了

2019年01月23日 | ライフプランニングファイル

今日e-Taxで今年度分の確定申告を終了した。

国税庁のHPによると「e-Tax利用の簡便化に向けて準備を進めています」ということだが、書いてあるほど便利になっているかは多少疑問。

年一回のことなので昨年どんな手順で進めたか記憶していないので、どれほど便利になったのかよく分からない。

さてe-Tax確定申告の前に私の場合、次の準備を行った。

・市役所の国民保険の窓口で「国民保険料・介護保険料」納付確認書を貰い支払い社会保険料を確認する。

・地震保険・生命保険等保険料控除証明書をまとめておく。

・支払った医療費を医療機関毎に合計しておく。

ざっとこんなところだろう。なお公的年金の源泉徴収票などその他の必要書類を準備しておくことは当然必要だ。なお配偶者控除を受ける場合は配偶者の源泉徴収票も必要だ。またe-Taxでは配偶者のマイナンバーも聞かれたので配偶者のマイナンバーも必要だ。

次にパソコンでインターネット・エクスプローラーを立ち上げる。私はいつもはクロームをブラウザにしているが、e-Taxはエクスプローラーでないとうまく機能しないようだ。

このあたりまで準備して「確定申告作成コーナー」にアクセスして作成開始。

後は画面の指示に従って源泉徴収票等に記載されている数字を入力していくだけでそれほど手間はかからない。

なおマイナンバーカードを利用すると住所等個人のプロファイルを自動的に作成してくれるので便利である。

しかし総てマイナンバーとその暗証番号(2段階になっている)だけで事足りる訳ではなく、「国税電子申告・納税システム」の利用者識別番号や暗証番号もて手続き中に求められた。こちらも事前に確認しておく必要がある。(なおこれは私が回りくどい手続きをしたことによるのかもしれないが・・)

少し便利になったような気もするが、いずれにせよ申告手続きは手間がかかるものだ。

源泉徴収票や医療費領収書をマイナンバーで紐づけすると北欧諸国のように確定申告が楽になるのだが・・と思ってしまう。

でも道のりは遠いだろう。

 

 

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中国28年ぶりの低成長。実態は?

2019年01月23日 | 投資

昨日の米国株は4日連続の上昇の後の大幅下落。ダウは301ポイント下落した。下落の原因はIMFが4半期毎に発表している1月の世界経済の成長予測が3.5%に低下(昨年10月は3.7%)したことと中国政府が発表した昨年の経済い成長率が6.6%と1990年以降最低となったことだ。

またFTが米中間の貿易交渉会議がキャンセルされたと報じたことも相場の下落を一時加速させた。ただしこれについてはクドロー経済会議委員長が否定したことで相場は底から少し持ち直した。

中国の成長鈍化の問題は6.6%という数字だけにあるのではない。一つは中国経済は政府統計が示すよりもっと悪いのではないか?という懸念があることだ。もう一つは米中貿易摩擦が経済成長を鈍化させた要因の一つであるが、仮に米中が貿易問題で合意に達したとしても中国経済が活気を取り戻すことができるかどうかという問題だ。

輸出企業は投資と雇用を抑え、レイオフを行っている企業もある。先月の失業率は11月の4.8%から0.1%悪化して4.9%になった。

輸出依存が突出している印象を持たれる中国だが、昨年の経済成長の3/4以上は内需が牽引している。その内需が鈍化しているのだ。

その原因は過去3年間習主席が音頭をとってきた債務削減活動だ。最近路線転換が行われているが、昨年の固定資産投資の伸びは5.9%と前年の7.2%から大幅に減少している。

WSJは塩城市の仕立て服店のマネージャーの「売上は昨年30%減少した。恐ろしい年だった。そして今年事態が良くなるとは思わない」という声を紹介していた。

中国の指導部は「成長鈍化に対処するのが今年の重要課題だ」と述べている。習主席は「経済成長は合理的はレンジに維持されなければならない」と述べている。そしてその合理的レンジは今年3月の全人代で6%~6.5%に設定される見込みが高いと事情通は述べている。

米中貿易交渉が3月1日までに妥協点を見出すことができれば、このレンジの成長率は期待できるかもしれないが、さもないと中国は企業や地方政府レベルの借金を増やして景気刺激を行わないといけないことになる。

大部分の統計データがあてにならない中国の本当の姿は我々一般人には分かりにくい。中国の経済成長率は実態より悪いのではないか?という私の「推測」は政府が成長目標を引き下げそうだということを根拠にしている。

 

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必要なのは「働き方改革」ではなく「暮らし方改革」

2019年01月21日 | 社会・経済

昨今「働き方改革」が声高に叫ばれることが多い。

だが私は「働き方改革」を推進するには「暮らし方改革」を考えるべきだと考えている。

「働き方改革」の目的は、色々あるが政府や企業経営の観点から考えると「人口減少が続く中で働きやすい環境を作ることでより多くの人に労働力になって貰う・一人当たりの生産性を上げる」ことが大きな目標であるはずだ。

なぜなら経済成長は労働者の頭数と一人当たりの生産性の積で決まってくるからだ。

労働人口の減少は先進国共通の悩み。緩やかな人口増加を維持している米国も例外ではない。

その米国の中で、高い人口増加率とそれに伴う高い経済成長率を維持している州がある。ソルトレイクシティを州都とするユタ州だ。

WSJによると、2010年以降の全米の中核労働年齢層(25歳~54歳)の増加率は1%程度だが、ユタ州の人口増加率は10%に達している。

モルモン教の本山があるユタ州は元々出生率が高い上、それに加えて各地から移住者が増えているのだ。

ユタ州に移住者が増えているには幾つかの要因がある。一つは住居費が西海岸などに較べると安いことだ。これは子供の多い家族にとっては大きなメリットだ。だが住居費が安いだけで人は集まらない。雇用を生み出す産業があることが重要だ。

ユタ州はスキーリゾートなど観光産業で有名だが、ハイテク産業などその他の産業も伸びている。

ハイテク産業などの従事者が増えると外食産業など消費関連産業も増え、経済成長が促進するというプラスの循環が始まる。

トップレベルのスキーリゾートや自転車専用道路があるのもユタ州の魅力。働くだけでなく、アウトドアで余暇を楽しむ人にとって暮らしやすい土地であることは間違いない。

我が国では「休む」=「さぼる」と考えている人がまだまだ多いそうだが、このような意識は労働生産性を押し下げている。

リフレッシュすることで、活力と新しいアイディアが生まれるからだ。

つまり「働き方改革」を進めようと思うなら「暮らし方改革」を進める必要があり、暮らし方改革の一つの突破口は「休み方改革」を考えることである。

ユタ州から学ぶことは多そうだ。

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「お山の大将」になる~知的な老い方②

2019年01月20日 | ライフプランニングファイル

「知的な老い方」の中で外山さんは「老人が幸福になるには、お山の大将にならなくてはいけない」と述べている。

外山さんは「自任の大将」ならうまくいくだろう、と考え自分で会を作った。短歌を作っている御婦人連中をそそのかして「エッセイを書く会」を作った。大将は外山さん。メンバーは月に一回集まり、持ち寄ったエッセイを読み上げ、みなであれこれ感想を述べ合うということだ。

外山さんへの謝礼はなし。「心配はご無用、好きでしていることで、お礼をもらってはバチが当たるといって、辞退する。」と述べている。

外山さんは「お山の大将は自分でなる。自任するものであって、ほかの人から任命されるものでもない。・・お山の大将は生きがいになる」と述べている。

私の身の回りにも本当のお山の大将がいる。本当の、というのは「山登りの会」の大将を自任しているからである。

大将の一人はFさんといって元大手銀行の社長・会長を歴任した人だ。この人は社長・会長時代から山歩きが好きだったが、退任してからはある社会奉仕活動団体の中にトレッキング同好会を作り、毎月のように近郊の山歩きを楽しんでいる。山歩きも好きだが、みんなとワイワイガヤガヤ歩いて、温泉に入ってお酒を飲むのが好きなのだ。

お山の大将といっても、威張っている訳ではなく、面倒見が良いから仲間が集まってくる。

もう一人別の「山登りの会」の大将にYさんがいる。この人は私より10歳ほど若いが、職場の山好き連中を集めて山の会を作り、大将を自任している。企画力と行動力抜群の人なので若い仲間がかれを慕って会が続いているのだ。

このお二人が外山さんの「お山の大将」の話を読んでいるかどうかは知らないが、もし読んだとすると膝を叩いて喜ぶだろう。

老人でなくても幸福になるには、何かのお山の大将になるのが良い。だが助走期間なくしてお山の大将になれる訳ではない。

外山さんの場合には「文章力」があり、FさんやYさんの場合は長年のトレッキングや山登りの経験があった。仲間が頼りにしてくれる「何か」がないと大将になるのは難しい。

かく語る私もちょっとした山登りの会の大将を自任している。しかし私は大将の地位を独り占めするのは良くないことだと考えている。なぜならみなが大将になりたいからだ。そこで山の会の中にスキー部会などサブコミッティーを作り、そこでスキーの上手な人に大将を務めて貰っている。

幸せになるには大将になるのが良いが、カラオケもマイクと同じで独占してはいけない。みなが少しづつ大将になるような仕組みを作り、幸せを分かち合えたら良いな、と私は考えている。

 

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