惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

建造物としてのSF史

2005-11-15 20:24:55 | 本と雑誌
 よれよれになって今月のSF書評原稿を送る。
 長い話が多いのです。池上永一『シャングリ・ラ』(新潮社)、アレステア・レナルズ『啓示空間』(ハヤカワ文庫)、ロバート・J・ソウヤー《ネアンデルタール・パララックス》3部作(同)、大森望『現代SF1500冊』(太田出版)……。読んでも読んでも先があるという状態で締切に突入してしまったので、本来なら今月取り上げるべき本が何冊も来月送りになってしまいました。

 でも、大森くんの『現代SF1500冊』では『シャングリ・ラ』も『啓示空間』もすでに書評されているんだな。魔法を使ったとしか思えません。

 R・A・ラファティ『宇宙舟歌』(国書刊行会)も来月送りになった1冊ですが、この巻で完結となった《未来の文学》シリーズにつづき、第2期全6巻が発刊予定。そのパンフレットに伊藤典夫さんが文章を寄せていて、これがとても面白いのです。
 タイトルは「SFという名の建物」。SFの歴史を、建物が増改築されてゆくさまに重ね合わせてわかりやすく語るという離れわざ。
 「神話や伝説、風刺文学やゴシック小説、ユートピア思想などを育んできた広々とした豊かな土地に、堂々とした門構えの平屋を建てたのがジュール・ヴェルヌとH・G・ウエルズ」と説き起こし、ガーンズバックの功罪や現在の状況などを、建物のリフォームになぞらえていて愉快。

 ここの新刊予告の下の方にあるアドレスにメールで申し込むとパンフレットが送ってもらえるようです。たぶん、店頭にある国書刊行会の新刊にも挟まれているんじゃないかな。ぜひご覧になってください。