今度のSF大会でかなり驚いたのは「知の旅人・小松左京のノンフィクションを語る」での、小松さんの秘書・乙部順子さん(小松左京事務所イオ社長)の発言。
私は推薦する小松さんのノンフィクションとして『やぶれかぶれ青春論』を挙げ、「小松さんにはいくつも自伝めいたものがありますが、これはご自分で書かれた唯一の本」と言ったところ、すぐさま乙部さんから訂正があったのです。
「『威風堂々 うかれ昭和史』というのがあって――」と、乙部さん。
私が「でも、あれは週刊読売の人が聞き役になってて……」と訊きかえすと、乙部さんは、
「あれの前半は小松さんが全部自分で書いてます」
これって、よく知られていることなんでしょうか?
知られてなくても、乙部さんが壇上で言っちゃったから、こうやって書いていいんですよね。
確かに、この作品のやりとりのノリの良さは、ちょっとそこらの聞き手が小松さんに絡んで出てくるものではありません。
しかし、小松さん、自分で自分に突っ込みを入れながら、毎週、インタビュー形式の原稿を書いておられたんですねえ……。
ただ、気になるのは「前半は」と乙部さんが限定なさったこと。
『威風堂々 うかれ昭和史』は、前半・戦前篇が〈週刊読売〉1999年4月18日号~12月26日号連載、後半・戦後篇がリニューアルされた〈Yomiuri Weekly〉2000年4月16日号~10月8日号に連載されています。
乙部さんのおっしゃる「前半」とは戦前篇に一致するのか? 後半は誰が聞き手になり、どれくらい内容にからんだのか?
その場では確認できなかったので、宿題となりました。