ケイト・ウィルヘルムは並外れた実力をもったSF作家でした。一昨年、89歳で逝去。
彼女の傑作『鳥の歌いまは絶え』が、このほど創元SF文庫から刊行されました。元のサンリオSF文庫版から38年ぶり。そんなに経つんですねえ。
原題は'Where late the sweet birds sang'で、シェイクスピアのソネットから採られたもの。
創元文庫版の解説で渡邊利道さんが、日本語タイトルの由来について書いておられます。
訳者の酒匂真理子さんが電話で浅倉久志さんと話していて、タイトルにふさわしい訳に悩んでいると相談したところ、「そういうのはこう訳せばいいんだよ」と、たちどころに示してくれたとか。
ちなみに、ネットで利用できる機械翻訳にかけてみると――
- Google 翻訳――「遅い鳥が歌ったところ」
- みらい翻訳――「甘い鳥たちが遅く歌ったところ」
- DeepL翻訳――「甘い鳥が歌っていた場所」
- エキサイト翻訳――「所 遅れ 甘い鳥が歌った」
あと、Weblio翻訳では、まず「『鳥の歌いまは絶え(英語: Where Late the Sweet Birds Sang)』は、1976年に出版されたケイト・ウィルヘイムによるSF小説」という説明が出て、別項で機械翻訳の候補例が並びます。
もとの英語をもう少し詳しく見てみると、'Bare ruin'd choirs, where late the sweet birds sang' というもので、私なりにくだくだしい日本語にすれば、「かつて小鳥たちが愛らしく歌った聖歌堂も今は荒れ果てた廃墟だ」とでもなるでしょうか。
当該部分をタイトルらしい日本語にすれば、「小鳥の歌は今どこへ?」……ダメですか。
浅倉さん、凄いですね。