受験シーズンが近い。受験シーズンになると私の親父のところにも合格祈願のご祈祷をお願いにくる人が増える。親父は僧侶でありご祈祷や運勢占いをやっている。運勢を占うこととご祈祷の間にはある種の論理的矛盾を感じない訳ではない~つまり運命を確定的なものとするならばご祈祷によって変えることは出来ないはず~が、親父の祈祷は良く当たるとそこそこ評判が良い様だ。
そこである日親父がご祈祷依頼者と話をしているのを隣の部屋からそっと聞いてみた。すると親父は依頼者にこう言っている。「仏様にあなたの息子さんにとって一番良い大学に入れますよう拝んでおきます」
なるほどこれなら当たる確率は相当高い。例え第一志望の学校に入れなくてもそれは仏様が一番良いと考えた学校ではない訳だから。又仮にどこの大学に入れなくてもそれもまた仏様のはからいなのだから。
親父の説明は詭弁の様な気もするが、人生なんてものはそんなものかもしれない。無理をして実力以上の学校に入ったところで苦労だらけで長続きしない可能性が高いだろう。人生万事塞翁が馬という言葉もある。そんなことであればわざわざお坊さんに拝んで頂かなくても良いようなものだが、やはり急場で頼りたくなるのは仏様、神様の様だ。