先日近所のクリニックの待ち時間に、雑誌を読んでいたら最近の日本株市場は朝方強くても、引けにかけてダレるので株を売るなら寄り付きが良く、株を買うなら引け前が良いよ書いてあった。これは一種のアノマリー(Anomaly 不規則性。合理的に説明できない株式市場の動き)ともいえるということだ。
そこでどの程度の効果があるか、自分で計算してみた。まず今年の1月4日から昨日(5月24日)までの96日間について日経平均の始値・終値を収集し、エクセルデータにした。(データはヤフーファイナンス等で簡単に取れる) 次に「当日の始値-前日の終値」の列を作り、コピー機能で96個のデータを作る。もう一つ「当日の終値-当日の始値」の列を作り同じ作業を行なう。
そしてその値の合計と「値がゼロより大きい個数」を調べてみた。つまり「機械的に引値で日経平均を買い、翌日の朝寄付きで売る場合」と「機械的に当日の朝一番で買い、当日の引けに売る」のではどちらが儲かるかということの検証である。
この結果は前者の値の合計は1,320.80円でプラスの日は57日、後者の値の合計は-1,588.16円でプラスの日は42日であった。以上のことから今年についていえば引値で買い、オーバーナイトでポジションを取り寄付で売るという投資行動の方が、当日の寄付で買い引けで売るよりパフォーマンスが良かったということになる。
ところで昨年1年ではどうだったろうか?結論を言えば同じである。
昨年(2005年1月4日)の日経平均の始値は11,458.27円、終値(12月30日)は16,111.43円だった。つまり年間で4,653.16円上昇した。前日買って翌日売る方法で、利益を確定していくとその利益の合計は2,666.45円になる。因みにプラスが出た回数は143回である。一方当日の朝買って引けに売る方法で利益を確定すると1,986.71円でプラスが出た日数は124日である。昨年は日本株が急上昇した年であるが日中ベースで見ると半分以上は終値が始値を下回っていたことになる。
以上のようなことから、株を買うなら引けが良く株を売るなら寄付きが良いということはある程度言えそうだ。(もっともまじめに統計学の問題として語るにはもっと大量のデータ分析が必要だが)
では何故このようなことが起きるのか?その一つはデイトレーダーの様にその日その日で利益を確定したいと思う人が多く、場が引ける前に売り圧力が高まること,海外市場等で大きく相場がぶれるのを敬遠してポジションを軽くしたいという意向が強いことなどが要因と考えられる。
いずれにせよ長期的な株価上昇に対する信任が低下している場合は引値が下がる傾向があるという仮説は持ってよさそうだ。これを逆手に取るとパフォーマンスが上がるだろう。
ところで先程の計算は売買にかかわる手数料を無視して計算した。実際は手数料がかかるのでこれはあくまで理論的な計算であることにご注意。なお昨年に関する限りは正月一番で株を買い、大晦日まで何もしない方が、ここで設定した短期取引よりパフォーマンスが良かった。果報は寝て待てという格言も捨てたものではないということだろうか?