昨日衆院本会議で代表質問に民主党の小沢代表が冒頭「日本は世界で最も格差のある国になった」と発言した。これに対して安倍首相やマスコミも特段コメントをしていない様だが、随分アバウトな発言である。まず何を持って格差というのか?フローかストックか?同世代間の格差か?異なる世代間の格差か?等々。次に小沢発言の統計的根拠は何か?
だがその前に格差は全くいけないのか?それともある程度の格差は経済発展のドライバーなのか?日本ではこんなことについても基本的なコンセンサスがない様な気がする。つまり国会の場で空理空論が繰り返されている。
では本当の意味で先進国の中で所得格差が最も大きいと推定される米国ではどういう議論と政策が取られているのか?
無論米国でも保守党はより所得格差問題に楽観的で、政府による所得再配分に消極的であり、民主党はその逆である。しかしその間の考え方の差はそれ程大きくない様に思われる。例えばある米紙の記事によると米国の保守党支持者の92%は勤勉と根気により、不利な状況は克服されると考え、民主党では65%がそう考えているということだ。
具体的な政策になると今下院で民主党が最低賃金の引き上げに動いていて、現在1時間5.15ドルの最低賃金を7.25ドルに引き上げる法案が上院でも超党派的に可決されるらしい。(もっとも最低賃金の引き上げが、真に所得格差是正につながるのかどうかという点で議論もあり、多分に政権末期のポピュリズム的な対応とも言えるかもしれないが。)
格差問題について国会で哲学(しかも根拠がなくレベルの低い)論争をするのではなく、やる気があり努力する低所得層の待遇を改善する具体的な施策を討議して欲しいものである。この点で私は一定範囲を超える残業代の割増率を増やす法案については良い法案であろうと考えている。欧州ではこの法案が若年層の雇用拡大につながっているからだ。