金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

「中古住宅」、呼び名を変えたらどうだろう

2007年01月26日 | 社会・経済

今ある雑誌にリバースモーゲージの記事を書く準備を進めている。住宅流通市場の勉強もその一環だ。住宅の流通市場の業況は米国では景気動向を判断する重要な指標になっている。例えば昨日(1月26日)のウオール・ストリート・ジャーナルは2006年の既存住宅取引件数の前年比減少幅は1989年以降最大だったと報じている。具体的にいうと2006年の既存住宅取引件数は648万件で前年比8.4%の減少である。

米国では全住宅取引(新築+既存)の8割近くを既存住宅取引が占めるので、その取引動向が経済の活性度合いを図る重要な指標になる。ところで日本では既存住宅取引が全取引に占める割合は13%弱と推計される。その影響度合いが少ないことやタイムリーな統計データが得られないので金融市場関係者は注目しない計数だろう。

しかし日本で既存住宅市場を活性化することは高齢化対策や省資源対策の面で喫緊の課題であろう。ところで私はこの文章の中で中古住宅のことを既存住宅と呼んできたが、イメージを良くするために中古住宅という呼び方を既存住宅に変えたらどうか?というのが私の提案である。

米国で「既存住宅販売件数が大幅に下落した」というのはExisting - home sales plungeであり、Used - home sales plungeではない。米国でも中古車はUsed carという具合に中古はUsedなのだが、住宅についてはUsedとは言わない。ここに住宅に関する日米の意識・考え方の違いが顕著に現れている。つまり住宅というものは長い間色々な人で使われていくものなので新築と既存の区別はあるが、古物というものはないということだ。これは絵画等美術品に中古という概念がないことと似ている面がある。

ということで日本でも既存住宅の流通市場を活性化しようと思うのであれば、行政当局や不動産業界が中古住宅という呼び方を既存住宅に換えた方が良いと思うのだがどうだろうか?

コメント
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