金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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格差社会って何なのだ?

2007年01月25日 | 社会・経済

第166回通常国会が召集された今日、民主党の菅代表代行が「この国会を格差是正国会と名付けて闘っていく」という挨拶を行なったそうだ。ということを民主党ホームページで見たので民主党がいう格差とは何なのか?を探してみたが格差の定義は見つからなかった。

今格差という言葉が巷を賑わしているが、格差とは何なのだろう。例えば同じ年代の人の間に所得格差があることを格差というのか?それとも同じ仕事をしていても正社員と派遣社員やアルバイトの間に給与の差があることを格差というのか?あるいは同じ仕事をしている正社員の中で勤続年数や年齢によって差があることを格差というのか?

という具合に一口に「所得格差」といっても、色々な観点からの格差がある。で、民主党はどのような格差を是正したいのだろうか?一つの極端な例として年齢・勤続年数・スキル・雇用形態・勤怠・生産性などの差に係らず総ての勤労者が同一の報酬を得る社会があったとする。これは究極の格差なき社会かもしれないが、格差もないかわりに積極的に仕事をするモチベーションの湧かない社会だ。民主党はこのような社会を作ろうとしているのだろうか?

実は生涯賃金ベースで見た時、日本は世界の先進国でもっとも格差の少ない社会だろうと判断される。しかし年齢間の所得格差でみると、年功序列型賃金体系のため欧米諸国より格差は大きいのである。また低所得者間の格差が相対的に大きいのも一つの特徴である。しかしこの日本の社会が人々特に若い人から強い支持を得ているかどうかは疑問である。支持が得られない理由があるとすれば、それは一般的な格差の大きさの問題ではなく、世代間格差の問題とモチベーションを高められない社会の仕組みにあると考えるべきだろう。

そもそも「格差はあるが、格差は可変的で競争を重視しモチベーションの高い社会」か「格差はないが競争を重視せずモチベーションが低い社会」のどちらが良いかということについては20世紀後半の歴史が前者に軍配を上げている。ただ格差社会には幾つかの重要な歯止めが必要だが。中でも特に重要なのは「格差が固定せず、上昇のチャンスが人生に何度も巡ってくること」と「セイフティネット」だと私は考えている。

格差是正国会を目指すことは結構だが、民主党が是正したい格差は何なのかもう少し突っ込んで実りのある話をして欲しいものである。

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