金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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格付機関の責任、重くなるかもしれない

2007年05月11日 | 金融

日本でムーディズやS&Pの格付が宗教の様にもてはやされ、預金者が金融機関の格付を見てお金を引き出したり、預けたりしていた時期があった。7,8年前のことである。今ムーディーズが大手銀行の格付を引き上げたが、国際金融市場での影響はさて置き一般預金者の方にはほとんど関心がないだろう。隔世の感がある。

ところがファイナンシャルタイムズを見ていると、米国で「格付機関が損失に責任を持つべきである」という研究が発表されたという記事があった。要はストラクチャードファイナンスにおいて格付機関は単に格付に関する意見を表明しているのではなく、投資銀行(=証券会社)と共同作業を行なうという積極的な役割を担っているので、格付を信じた投資家が損失を被った場合には責任があるという議論だ。

これは私の様に証券化に関係する者でないと余り関心のない話だろうが、ポイントを簡単に紹介しておきたい。

  • 投資調査会社グラハム・フィッシャーのコンサルタント・ロースナー氏達による共同研究は「伝統的な(企業)格付のプロセスとは異なり、ストラクチャード・ファイナンスでは格付機関は、ディールを組成する段階で積極的な役割を担う」「証券会社が投資家に販売するため望ましい格付を取得するのを助ける役割を担っている」と述べている。
  • これに対してムーディズ・S&P・フィッチの3格付機関は「格付機関の役割は格付に関する意見を述べることに限られている。格付基準は公開されているので、投資銀行が案件を組成する上で使うことができる」と直ちに反論した。
  • 格付機関は過去オレンジ州のデフォルト、エンロンの崩壊の後訴訟されているが、「憲法で保証された意見の表明の自由」といくことで反論している。
  • しかし前述のロースナー氏達は「格付機関は格付取得費用を払う引受業者と共同作業を行なっているので、裁判所が格付機関を米国証券法の下では引受業者と見なす可能性がある」と述べている。

私はストラクチャード・ファイナンスに関する限り、ロースナー氏達の意見は十分メリット(理非)があると考えている。日本では証券化案件はまだまだ少ないが、もし日本の金融活動が洗練されていくとするならば、増えていくはずである。この時投資家達は格付を頼りに投資するしかないので、格付機関の責任は重くなっていくだろう。その水先案内的な意味で注目しておいて良い話だろう。

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