金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

外人の不動産投資が増える意味

2007年05月22日 | 社会・経済

外国人の日本の不動産投資が昨年3倍になった。ファイナンシャルタイムズによると国際的な不動産会社ジョンズ・ラング・ラサールは外国人の投資は2005年の40億ドルから06年には130億ドルに拡大している。同社によると日本の金利は世界で一番低いので投資利ざやが確保されるということだ。

外国人の投資はクラスAと呼ばれる東京、大阪、名古屋の高級オフィス物件が大きなウエイトを占める。モルガンスタンレーの不動産アナリスト大山氏によると、東京の中心部の人気の高い物件でキャップレートは3.6-3.8%である。このレートは大山氏が2000年に予想した5%よりも低いが借入金コストを差し引いても利益がでるレベルだ。

日本人の商業不動産投資も活発で、国内、海外勢合わせた商業用不動産投資金額は05年の230億ドルから520億ドルに拡大している。

このことの意味を考えてみよう。活発な不動産投資により大都市特に東京の中心部は国際的なビジネス特に金融ビジネスのハブとしての魅力を増すだろう。もっとも香港やシンガポールを圧倒するには、成田からの高速鉄道を整備する等課題は多い。急速に悪化している治安も気になるところだ。

とはいえこれだけ外人の不動産投資が増えていることは、外人が東京が国際金融センターとして復活する可能性に賭けている、少なくともこの問題に政府がシリアスに取り組むと考えている証左だろう。

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共産党の資本主義化、ここに極まる

2007年05月22日 | 国際・政治

先日ワイフとテレビで株式投資に熱狂する中国人の姿を見ていたら、ワイフが「中国って共産主義国家でしょ。それなのにどうして皆、株に熱狂するの?」と聞いてきた。短い答は「誰でもお金持ちになりたいから」である。

しかしもっと分かりやすい答は「中国政府のブラックストーンへの出資」の中にあった。この話は日経新聞にも出ているので細かい説明は省く。ブラックストーンというのはシュテファン・シュワルツマンとピーター・ピーターソンが設立した投資ファンドである。私も10年位前にブラックストーンのメンバーの一部に会ったことがあるが、色々あるファンドの中で「きちんとした」ファンドであるという印象を受けた。それもそのはずピーターソン氏はニクソン政権で商務長官を務めた人物である。

さてブラックストーンは今回40億ドルのIPOを考えていたが、中国から30億ドルの投資を受け入れるのでIPOの金額を78億ドルに引き上げる予定だ。今回のIPOでシュワルツマンら創業者がどれ位の資金を受け取るか明らかではないが、80歳のピーターソン氏は2008年に退職するので、今回持分を売却すると思われる。

中国は今回の投資を外貨準備の積極運用と言っているが、30億ドルという出資額は1兆2千億ドルという中国の外貨準備からすると微々たるものに過ぎない。狙いは人民元の切り上げを求める米国政府との摩擦緩和もあるが、ブラックストーンの力とノウハウを中国のプライベートエクイティディールに使うという点にあると見ておいて良いかもしれない。

中国はポリティカルな国であり、したたかである。共産主義では13億人の人民を豊かにできないと知ると資本主義のご本尊の様なバイアウトファームの力を借りることも辞さない。しかしこの話は中国の末端まで正しく報道されるのだろうか?という疑問もわく。資本主義のご本尊に資金の運用を託すことに抵抗を覚える純朴な共産党員などいないのだろうか?

私は日本の共産党や社会党(今は社民党だが)のスローガンを見て社会主義程現実離れしたものはないと思っていた。しかし今の中国共産党を見ると共産党ほど現実的な政党はないという感じすらしてくる。

お上のすることは下々も習うのが、かの国の風習であるから国が投資に熱心になれば、庶民が株式投資に熱を上げてもおかしくはない。

弁証法においてマルクス、エンゲルスに先駆するヘーゲルは「現実的なものは理性的であり、理性的なものは現実的である」と言った。正しい株式投資が現実的であるとすれば、理性的であるはずだ。それは弁証法の理念に合うものなのだろう。

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日本橋が外国の飛び地になる?

2007年05月22日 | うんちく・小ネタ

ファイナンシャルタイムズ(FT)を読んでいると「東京の一部が投資銀行の飛び地になるかもしれない」という記事が出ていた。飛び地はEnclave。話は山本金融相が月曜日に米国商工会議所で行ったスピーチによる。

以下FTのポイント

  • 山本金融相は丸の内と日本橋の一等地をもっと多くの外国企業をひきつける特別地域にしたいと望んでいる。この地域には日銀や東京証券取引所があるが、山本大臣は建築制限とゾーニングを緩和して不動産開発業者が外国人向けオフィスビルやアパート、学校、病院の建設を容易にしたいと彼は考えている。
  • 山本大臣は新丸の内ビルは大部分の日本のビルと異なり、24時間入館が可能で深夜までオープンしいてるレストランがあり、テナントの7割は外国企業であると言った。「我々は時差のため異なった時間帯で働く人のための環境整備に努める」と彼は言う。
  • 彼のコメントは高い税金と不明瞭な規制のため、東京が世界の他の金融センターに遅れをとっているという懸念から発している。
  • モルガンスタンレーのエコノミスト、ロバート・フェルドマン氏は「東京がロンドン、香港、シンガポールにビジネスを奪われているので東京に危機感が生まれている。」と言う。

以上が記事のポイントだ。仄聞するところではシティバンクもこの夏には丸の内に移転してくるということだ。

この様な動きの中から幾つかのことが想像できる。

  • 仮に東京が金融センターとしての競争力を回復するとした場合、その金融センターで外資系企業に勤務する日本人はかなり高い報酬が得られる。外資系企業への就職熱はますます盛んになる。そしてこれはマル金の金融パーソンを作る。

80年代にマルキン・マルビという言葉が流行った。渡辺和博氏が「金魂巻」でマルキンの銀行員とかマルビの銀行員なんて書いていた。面白いので私も愛読したものである。

一方この頃は格差社会という言葉は聞かなかった。マルキン・マルビにはユーモアがあり、絶望感は少ないが、格差社会という言葉にはどこか「克服できない壁」の様な諦観と絶望感が漂う。

  • 三菱地所や三井不動産のようなディベロッパー、REITなど不動産関連事業のビジネスチャンスが拡大する。投資の観点からは買い。
  • ビルの中に英語が氾濫してどこの国の町だか分からなくなる。

これは先日六本木ミッドタウンで感じたことだ。日本語の看板を出している店が見つからない!

これは15年位前私がアメリカにいたころの話なので今はどうか知らないが、米国では外国語(日本語や韓国語)だけで看板を表示することは禁止されている。これは火災等の緊急事態が発生した時困るからだ。セキュリティの観点から必ず英語を使うことが求められている。

これに比べて東京で英語だけでOKということは、日本人誰でも店の看板の英語位は読めるということなのだろうか?

しかし「名は体を現す」という。私は英語だけの表示にある違和感を感じるのだが、これは私がいつの間にか古い人間になったということだろうか?

東京を金融センターにして、外資を誘致してビジネスを増やすことに反対はない。しかしそれが格差社会を加速するとともに、大事にするべき日本の伝統の一部がいともたやすく放棄されそうなことに懸念を感じる。

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タンブラーは何故タンブラーなのか?

2007年05月22日 | うんちく・小ネタ

昨日は私の誕生日で下の娘からタンブラーをプレゼントに貰った。六本木の東京ミッドタウンで買ってくれたものだ。

Tumbler

この切子のタンブラーには透明なお酒たとえば焼酎が良く似合う。タンブラーというのは寸同型のコップでハイボールグラスともいう。ところでタンブラーはTumbler。Tumblerは転倒するという意味のtumbleから来ている。タンブル・ドライヤーといえば回転式乾燥機のことだ。

お酒を飲むこのグラスをどうしてタンブラーというのか興味が沸き調べてみた。Wiktionaryというインターネットのフリー辞書に「元々のタンブラーは凸型の底になっていて中のお酒をこぼさずに置くことができない。したがって飲み手は中の酒を飲み切らざるを得ない」という説明があった。

この故事にならうならタンブラーでお酒を飲む時はテーブルに置かずに、一気にあるいは手で持って氷をカラカラいわせながら呑むのが流儀だろうか?そこまでは辞書に説明はなかったが。

私は家であまり冷やした焼酎は飲まないが、これからは娘のグラスで時々飲んでみよう。

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