今日日経BPネットを見ていると「ちょっと危ない金融英語」というコラムでレバレッジLeverageという言葉を紹介していた。レバレッジとは梃子のことで金融では借金するという意味だ。レバレッジドバイアウトLBOはLeveraged Buy Out、買収先の資産を担保に借金する企業買収である。
このコラムは「企業が借入で資金調達をしても、株式発行で資金調達をしてもそれ自体は企業価値に影響を与えない」という有名なMM(フランコ・モジリアーニとマートン・ミラー)理論を紹介して、間違わないなら借金しても良いのじゃないのまとめている。
ところでレバレッジという言葉で私が思い出したのは、米国の伝説的なファンドマネージャーであるピーター・リンチ(マゼランファンドを率いていた)に対し、あるインタビュアーが行なった質問である。
You are able to leverage yourself by writing books three times so far.
直訳すると「あなたは本を書くことであなた自身の経験にレバレッジをかけることができましたね」だが「あなたは自分の経験を本にすることで多くの人に指針を与えることができましたね」という位の意味だろう。
私は価値ある人生とはピーター・リンチの様に「自分の有益な経験を他人に伝えることで世の中に貢献する」人生だろうと考えている。ピーター・リンチは隠れた優良企業の発見と長期保有で彼のファンドのパフォーマンスを高めるとともに、多くの人々に株式投資の魅力とオーソドックスな投資手法を示した。
MM理論は一面の真理であるが、一方ハイレバ案件Highly leveraged transactionつまり多額の借入を伴う買収案件等が、ハイリスク・ハイリターンであることはいうまでもない。しかし全くの無借金というのは安全ではあるが、株主への配当が低すぎる。金融では適度なレバレッジが好ましいというべきだろう。
人生においても堅実な実績を梃子とした「レバレッジ=他者への働きかけ」ということは意味があると考えている。