金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

進みて名を求めず

2007年05月21日 | うんちく・小ネタ

ある小さな業界誌に毎月小文を書いている。今月発刊になった誌面には「進みて名を求めず」という題で孫子の一節を紹介した。「進みて名を求めず」という文章は孫子の地形編に「進みて名を求めず、退きて罪を避けず、ただ民をこれ保(やす)んじて、而して利、主に合するは国の宝なり」として出ている。

この一文の前の文章を含めて解説すると「将は必ず勝つという見通しがついたならば、主君が戦うなといっても戦うべきであり、勝てないという見通しであれば主君が戦えといっても戦うべきではない。それ故主君の機嫌を損ねることがあるかもしれないが、それはやむをえない。将は人民の生活の安寧と主君の利益を図ることを目的とし、功績があっても名誉を求めず、失敗があれば責任を回避しない。だから将は国の宝である」ということだ。

孫子は「昔から本当の戦さ上手はまず勝ち易い条件を作っておいてから勝ち易い敵に勝つ。戦う前に勝負はついているから手柄は目立たないという。

このことを我々の仕事に当てはめてみよう。販売目標や貸出目標といった目標に振り回されて、コンプライアンスや与信リスクを軽視して無理な営業活動を行なう人を評価するようなことはないだろうか?無理な営業は必ず将来に禍根を残す。

人を評価するものは地味だが誠実な活動を続ける人の活動の中に深い洞察力と仕事に対する信念が光っていることを見落としてはいけない。

「進みて名を求めず退きて罪を避けない」ような人は会社の宝である。しかし短期の業績主義にはややもすると目先のパフォーマンスを追い求める人間を作る弊害がある。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする