このところアジアでは悲惨な事故が続く。一つはビルマを襲ったサイクロンで10万人の死者が出た。次の一つは中国・四川大地震で死者は5万人を越えると推計されると今日の新聞は報じているが、私はもう少し増えるのではないかと予想している。しかし余り今の日本の新聞が報道していないが、これらと並ぶかあるいはそれ以上に悲惨なのは北朝鮮の食糧危機だろう。北朝鮮の食糧危機で何人の人が餓死したのかというデータは見当たらないが、6百万人の人が飢えていて相当数の人が死線をさまよっていることは間違いない。
米国は北朝鮮に対して、50万トンの食糧援助をすることを最近決定した。50万トンの内40万トンは国連食糧支援プログラムを通じて、10万トンはNGOを通じて供給される予定だ。
米国は食糧支援と核の問題は関係がないと言っているが、これに先立ち北朝鮮は核開発に関する数千ページにわたる詳細な文書を提出しているので、多いに関係があると考えるべきだろう。
また前例のないことであるが、北朝鮮は支援食糧が平壌のエリートだけでなく、一般国民に行き渡らせることを担保するために外国の監視団の受入を了解している。これはビルマの軍事政権が外国人の立入りを嫌って食糧援助を拒んでいることと際立った対比をなしているとFTは説明していた。
問題はこの北朝鮮の態度をどう解釈するか?であろう。私は金政権が外国の監視団を受け入れることにしたのは、人道主義路線に転換したというよりは、食糧飢饉がどうにもならないところまで来てしまったのではないか?と推測している。従ってビルマの軍事政権より金政権の方が人道的だなどという判断は避けた方が良いだろう
サイクロンや地震で一度多くの人が死ぬことはニュース性が高いが、飢饉でじわりじわりと人が死んでいくことはニュース性が低いのか(あるいは情報が全くとれないのか?)日本のマスコミを賑わすことは少ない。しかし日本に一番近いところで悲惨な状況が起きており、しかもそれが何か極東の地殻変動につながりそうな気配がしている。