金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

解雇を意味する英語は多いね

2008年05月10日 | 英語

あるモノゴトに関する言葉の多さは、そのモノゴトに関する関心の高さと比例する。よく引き合いに出されるのは「英語は肉の種類や部分に関する語彙が豊富だが、日本語はそれらの語彙が少ない。一方日本語は出世魚に代表されるように魚に関する語彙が多いが、英語は少ない。これは英米人が肉を好み日本人が魚を好むからである」という話だ。

この論法を借りると英米人は大変解雇に関心が高いということができる。最近エコノミスト誌で英米の銀行・証券会社が従業員の解雇を続けているという記事を読んだ。内容よりも「解雇」に関する英語の表現の多様さに改めて驚いた次第だ。

解雇の一番一般的な表現はFireである。しかしこの言葉の発音は日本人には簡単ではない。ある日本人の上司が出来の悪いアメリカ人の部下を辞めさせようとして「ファイヤー!」と叫んだそうだが、周りのアメリカ人達にはHireと聞こえ、全くしまりのないことになったそうだ。蛇足ながらHireは「雇用する」だから、アメリカ人は首になるところが採用された訳だ。

Fireの代わりにSackという動詞も解雇を意味する。ただしインターネット上の英語辞書にはslang(俗語)とあったので気をつけて使う方が良いかもしれない。ネイティブでない人が得意がって俗語を使うことについて私は媚を売るような気持ち悪さを覚える。

エ誌はUBS、シティバンク、メリルリンチの3社がPink slipを送っているのは驚くにあたらないと述べる。Pink slipは給料袋に入っているピンク色の紙で「解雇通知」を意味するらしい。らしいというのは幸いにも私は現物を見たことがなく耳学問によった次第だからだ。

「仕事を減らす」ということではShed jobs という表現も一般的だ。人員削減にはBlood-lettingという表現が使われていた。All this blood-letting may reassure shareholders.(銀行・証券会社のすべての人員削減は株主に安心感を与える)

Blood-lettingは元々戦争や決闘における流血を意味したのだろうが、予算や人員の削減にも使われる。血を流すような痛々しさが伝わる表現だ。

ところでエ誌の資料によると、米国の金融界では2007年に15万人が職を失い(これは平時の3倍程度)、更に向こう2年で最大20万人が職を失う可能性があるということだ。

職がなくなるは200,000 jobs could go in American banksだ。Goには「消えてなくなる」という意味がある。ヘッドハンターによると米国の銀行員達は職を海外に求めているということだ。もっともエ誌は強烈な人員削減(Cut)は脂肪分のみならず筋肉もそぎ落としてしまい、収益力も落とすと警告を発している。

このあたりはバブルの後の日本の金融機関がコスト削減を急ぐ余り収益力を失ったことを他山の石とするべきなのだが、中々うまくいかないようだ。「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」(ビスマルク)という格言どおりに行かない理由の一つとして私はアメリカ人が「首にする」ことが好きな人種ではないか?と考えている。少なくとも「解雇」に関する語彙の豊富さは「解雇」が人生の大きな関心事であることを示している。

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日産、完全電気自動車の野望

2008年05月10日 | 環境保全

私はX-TRAILに6年間乗っているので、時々近所の日産のセールスパーソンが買い換えを勧めてくる。「今年の秋にX-TRAILのディーゼル車が出るからそれでも検討しようか?」などと返事をしていたが、最近「もう少し待って完全電気自動車(ガソリンとのハイブリッドでないという意味)を買おうか?」と思わせる記事に出会った。

今日(5月10日)の日経新聞朝刊には「日産が次世代電池を量産して環境対応車で巻き返しを図る」という記事が出ていた。しかしこの記事はルノー・日産が考えている電気自動車の販売プランを十分に紹介していない。エコノミスト誌によると「ゴーン会長は日産は利益の出るゼロ・エミッション自動車の開発で自動車業界をリードする」とコミットした報じている。

ルノー・日産は2011年までにイスラエルとデンマークで完全電気自動車のための充電拠点を整備する。また日産は2010年に米国で電気自動車を発売する予定で、2012年までにはルノー・日産グループで世界の主要な自動車市場で完全電気自動車を販売する計画だとゴーン会長は述べている。車の価格は約2万5千ドルになるという。

ゴーン会長によると、電池問題を除けば技術的には電気自動車が車の主流になる用意はできている。90年代にカリフォルニアで電気自動車が販売された時の1回の充電による走行距離は50マイルで充電に長い時間を要したので、一部の環境保全支持者以外の支持は得られなかった。

しかしリチウム電池技術は走行距離を200マイルに伸ばし、ガソリンの給油に要する時間プラスアルファ程度で7割充電を可能にする予定だ。

またゴーン会長によると、電気自動車は携帯電話の電池交換システムをビジネスモデルにするという。

日産が2010年に米国で電気自動車を販売する時は大量に自動車を所有する業者をターゲットにするという。業者は自分で充電施設を準備することができるからだ。

☆    ☆    ☆    ☆

電気自動車が実用化することは、資源・環境の点から歓迎するべきことだ。車が市場に出るならば真剣に買い換えを検討したいと思う。そしてそれまでの間今の車に乗り続けようと思う。日産は将来大きなビジネスチャンスを持っているが、目先の販売には苦戦するかもしれない・・・・などと思ったが如何なものだろうか?ゴーン会長の熱弁と強いコミットメントが現場のセールスパーソンの足を引っ張るのかしらんと余計なことを私は考えていた。

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