米国が海外の石油依存を減らそうと動き出した。これは1977年以来のことである。FTによると昨年の米国の海外石油依存率は58.2%だったが、今年の最初の3ヶ月の依存度は57.9%に低下している。米国のエネルギー統計局によると、米国の海外石油依存度は現在の約60%から2015年には50%に減少し、2030年には54%に増加するという見込みだ。
米国のエネルギー情報管理局によると、国民が高い石油価格に対応しだしたことと昨年制定されたエネルギー独立・保障法(Energy Independence and Security Act)の影響で海外石油への依存度が低下し始めた。
私は米国の海外石油依存が低下し始めた最大の要因は、昨年来の原油価格の高騰であると考えている。しかし原油価格の高騰に歩調を合わせて、欧米では将来の原油の供給に対する懸念が高まっている。
1950年代後半にマーティン・キング・ハバートが「ピーク・オイル学説」を唱え、世界の石油産出量は1965年から70年にピークを迎えると予想した。一方多くの石油業界の幹部、政治家、アナリスト達はこの学説は、原油埋蔵量を低く見積り過ぎているなどの理由で否定してきた。しかし最近の原油産出量の減少を示す幾つかの出来事はこの学説を後押ししているように見える。このことはもう少し調べてからブログに書こう。
ピーク・オイル学説によると、ある油田の原油の産出量は釣鐘型になる。つまり少ない産出量からスタートし、産出量がピークに達すると今度は登ってきた坂を下るようなペースで産出量が低下していく。
今世界の幾つかの大油田で産出量の減少が始まっていること、そしてそれに替わる大油田の発見がないことは、石油資源の将来が見え始めたということかもしれない。
世界の大油田の中にはメキシコのカンタレル油田のように減退状況が日本語のホームページでも簡単に見られるもの(石油天然ガス・金属鉱物資源機構が「カンタレル油田の急激な減退とカルデロン新政権の政策動向」というレポートをHPに掲載している)ものがある。一方世界最大のサウジアラビアのガワー油田のように、政府が埋蔵量に関する情報を極秘にしているところもある。このため石油資源の埋蔵量を把握することは、極めて困難だ。だが米国か英国が最も確かな情報を持っていることは確かだろう。その米国が海外石油依存度合いを減らそうということは、石油埋蔵量に関する悲観的な情報を押さえているのではないかと私は推測している。
話は飛ぶが私は日産・ルノー連合が「電気自動車」の開発に力を入れ出したのは、カルロス・ゴーン会長が外国人であることと無関係ではないと考えている。これは私の全くの推測なのだが、五ヶ国語に堪能なゴーン氏(ブラジルとフランスの二重国籍を持っている)は、日本人経営者より石油問題に知見が深く、石油価格の高止まりが続きそして遠くない将来枯渇することを予想している・・・・・といえば考え過ぎだろうか?それともハイブリッド車でトヨタ・ホンダに遅れを取ったので、完全電気自動車で巻き返しを図っているだけなのだろうか?
石油枯渇は大問題だが、これを逆手に取って色々な商売が出てくるだろう。「人間というものはしたたかな生き物である」と言える日が来れば良いのだが・・・・