金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

車の販売台数、中国がアメリカを抜く

2009年02月04日 | 社会・経済

ファイナンシャルタイムズによると、年ベースに換算した車の販売台数で史上初めて中国がアメリカを抜いた。GMの推定によると、1月の車の販売実績をベースにした米国の今年の車の販売台数は9.8百万台。一方12月の販売実績をベースにした中国の販売台数は10.7百万台で、瞬間風速ながら中国が米国を抜いたことになる。

もっともGMやフォードは「1月はFleet向けの販売が減少したのが販売台数減少の原因」としている。Fleetとは一般的には「艦隊」の意味だが、車に関しては自動車レンタル会社や官庁等大量に自動車を保有する組織を指す。Fleetはジャスト・イン・タイムに大量の受け渡しを求めるが、工場の稼動を止めていたデトロイトの自動車会社が注文に応えられなかったというのがGM達の言い分で、GMは「年間を通じては米国の自動車販売台数は中国を凌駕するだろう」と述べている。

1月は米国の自動車販売で1982年以降最悪の月になった。クライスラーの販売台数は55%、GMは49%、フォードは40%、トヨタは32%の減少した。デトロイト3社の販売台数は279千台で、ニューヨーク・タイムズはこれはGM1社の昨年9月の売上に等しいと述べている。

自動車メーカーにとって今年も厳しい年になりそうだ。特に2月17日に政府にリストラ・プランを提出しなければならないGM・クライスラーにとって、明るい絵が描けないだろうと他人事ながら気になるところだ。

それにしても車は日本でも売れない。昨日昔一緒に証券業務をやっていた連中と一献傾けた時聞いてみると、平均すれば10年以上同じ車に乗り続けている。先日自民党の細田幹事長が「普通に給料を貰っている皆さんが、消費をいたずらに減らすのは罪だ」とやや暴言を吐いていたが、私を含めて古い車を乗り続けている者の言い分は「まだ乗れるんだから買い換えないよ」ということになる。

今普通に給料を貰っていても、痛んだポートフォリオのことや先行きの不透明さを考えると「車の買い替えなど後回し」ということになるのだろう。

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中古住宅契約指数は明るい兆しか?

2009年02月04日 | 社会・経済

今日(2月4日)は立春、昨日は節分だった。相場の格言に「節分天井彼岸底」という言葉がある。また米国では「1月の株高」という言葉があるが、どちらのアノマリー(合理的に説明できない相場の現象)も今年は当たらなかった・・・・。

ただし一筋の燭光が見えない訳でもない。それは昨日米国で発表された12月の「既存住宅販売契約指数」が上昇したことだ。同指数は前月比6.3%、前年同月比2.1%上昇した。特に南部や中西部で既存住宅販売が伸びたようだ。

ところで「既存住宅販売契約指数」の原語Pending Home Sales Indexは、定まった日本語訳がなく「中古住宅仮契約指数」などと訳されている。訳者はPendingという言葉に惑わされるようだ。もっとも一般の米国人にも分かりにくい言葉なのかもしれない。ニューヨーク・タイムズは本文中にsigned a contoract but not closedと説明を加えている。つまり「売買契約は締結されたが、まだ受け渡しが済んでいない物件」のことだ。不動産取引で「契約日と受け渡し日」にズレがあるのは当然だ。従って単に「販売契約」と訳す方が良いと私は考えている。もう一つは「中古」という言葉の代わりに「既存」という言葉を使いたいと思う。何故なら米国では、新築住宅より既存住宅の取引件数が圧倒的に多いからだ。「中古」というと古いというイメージが付きまとうが、米国ではそのような感覚はない。

さて株式市場はこのニュースを好感して上昇した。しかしアナリスト達は「住宅販売が下落している中でたまたま12月だけ上昇しただけで、トレンドが変わった訳ではない」と慎重姿勢を取っている。

ニューヨーク・タイムズによると12月の既存物件価格の中央値は175,400ドルで昨年同月の207,000ドルから15% 下落している。17.5万ドルというと日本円では15百万円強だ。これ位安くなると買い手が増えても不思議はないと思うがどういうものだろうか?

私は米国の住宅融資が機能回復してくると、住宅相場の反転が近いと見ているが甘いだろうか?

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OB会雑感

2009年02月04日 | うんちく・小ネタ

先日大学のクラブ(山岳部)のOB新年会に参加した。参加者の中では私は若い方だ。既に退職し悠々自適の人が多かった。山の話の合間にでるのは、昨今の景気の悪化や雇用の問題だ。集まりの中には企業幹部の人もいたが、彼等は自分の雇用だけでなく、社員全体の雇用を考えないといけないから大変だ。日本の会社ではオーナーがリストラの鉈を振るうだけではなく、サラリーマンが同じサラリーマンをリストラしなくてはならない。

この状態を見て思い出すのは、中国は三国時代の曹操の息子・曹植(そうち)の「七歩詩」である。曹植は曹操の後を継いだ兄・曹丕と仲が悪かった。弟の詩人としての才能を嫉妬する曹丕は弟に「七歩歩む間に詩を作れ」と難題を吹きかける。

その時曹植が作ったのが「七歩詩」、ポイントを引用すると「豆がらは釜の下にありて燃え、豆は釜の中に在りて泣く。本はこれ根を同じくして生じたるに、相煮ること何ぞはなはだ急なる」というところだ。

同じ豆の茎に育った豆を豆がらを燃やして煮る。どうしてそんなに激しく煮るのですか?(兄弟なのにどうして貴方はそんなに辛く私にあたるのですか?)

サラリーマンの中のある人は「豆」になり、ある人は「豆がら」になる・・・・・というのは、悲しいことであるといわざるを得ない。出来ることなら「豆」にも「豆がら」にもなりたくないものである。

リタイアしたOBを見ると、元気でハツラツとした人が多い。もう「豆」でも「豆がら」でもなくなったのだ。会社のシガラミを離れた人は元気である。正確にいうと会社のシガラミを離れても、生甲斐とそれを可能にする経済的裏付けのある人はハツラツとしていた・・・・・。

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