花粉症の季節が始まったようだ。幸いなことに私は花粉症ではないが、娘の一人は花粉症で早くもスギ花粉を感じると言っている。日本で花粉症が増加した理由を説明するのに一つの仮説がある。それは寄生虫患者が減ったため花粉症が増えたという説だ。人体の中で寄生虫を攻撃するのも、花粉を攻撃するのもIgEという抗体。人体に有害な寄生虫がいなくなったので、IgE抗体は本来人体に無害が花粉に攻撃の矛先を向けてその結果花粉症が起きるという仮説だ。ただしこの仮説が学術的に認定されているかどうかは不明である。
だがこの仮説は今日の大相撲八百長疑惑を考える上であるヒントになると思った。それは「日本の社会のいろいろな不正・談合・インサイダー取引などの諸悪が減ってきたので、社会の正義感が相撲の八百長疑惑まで目に付けるようになった」という仮説である。
例えば総会屋問題については1981年に商法改正が行われ、「不正の請託」の有無に係わらず、株主の権利行使に関して会社の財産を支出した時点で刑事罰の対象となった。その後も総会屋問題は続いたが、警察・検察が企業トップにまで峻烈な態度で総会屋との縁切りを求めた結果、総会屋と交際を続ける企業は激減した。
国別に汚職度を測定してランク付けしたCorruption Indexというものが、Transparency Internationalという非営利団体から発表されている。点数が高いほど汚職度合いが低い国ということで、2010年度はデンマーク、ニュージーランド、シンガポールが9.3(10点満点中)という高い点数で1位を占めている。日本は7.8点で17位。ドイツの一つ下で英国の一つ上という地位だ。Corruption Indexについては信頼性等について議論が多いので、深入りは避けるが注目してよい点は日本の点数が上昇を続けている点だと私は思っている。つまり汚職の観点では日本は良くなっているのである。
色々な点で企業や社会が不正、談合、インサイダー取引といった広い意味でアンフェアな取引を締め出してきたのはほぼ実感できるところだ。
花粉症と寄生虫のアナロジーに戻ると、汚職や不正が多かった時は社会の「正義」抗体はもっと実害の大きな不正を攻撃していた。ところが大きな不正が減少して「正義」抗体は大相撲の八百長にまで攻撃の矛先を向け始めたというのが私の仮説である。
小沢一郎元民主党代表に対する世論の厳しさも同じ流れなのかもしれない。
ただし「寄生虫が減ったので花粉症が増えた」という説があくまで仮説であるように、世の中の不正が減って大相撲の八百長が炙り出されたというのもあくまで私の仮説である。